尿路上皮がん キイトルーダの二次治療で化学療法より死亡リスクが27%低下 NEJM

プラチナ製剤(シスプラチンやカルボプラチンなど)を含む治療で進行、または再発した尿路上皮がん(膀胱がん等)患者で、プログラム細胞死受容体1(PD-1)標的抗体ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)単剤治療は、化学療法と比べ全生存期間(OS)が有意に延長し、PD-1リガンド(PD-L1)発現レベル10%以上の患者集団ではさらに死亡リスクが低下した。米国Dana-FarberがんセンターのJ. Bellmunt氏らが、第3相無作為化比較試験(KEYNOTE-045、NCT02256436)の解析結果を2017年2月17日のNew England Journal of Medicine(NEJM)に発表した。

KEYNOTE-045試験 ~キイトルーダ vs 化学療法~

2014年11月5日から2015年11月13日までに、29カ国120施設で計542人が登録され、キイトルーダ群に270人、化学療法群に272人が登録された。実際に投与されたのはそれぞれ266人、255人で、キイトルーダは200mgが3週ごとに投与された。化学療法は、84人にドセタキセル(商品名タキソテール)が、84人にパクリタキセル(商品名タキソール)が、87人にビンフルニン(欧州商品名Javior)が投与された。主要評価項目は全解析対象、および腫瘍PD-L1発現レベル10%以上の患者集団における全生存期間(OS)、ならびに無増悪生存(PFS)期間の複合エンドポイントであった。

キイトルーダは化学療法より全生存期間(OS)を有意延長

2016年9月7日までの中間解析において、追跡期間中央値は14.1カ月、治療期間中央値はキイトルーダ群が3.5カ月、化学療法全群が1.5カ月で、この時点で治療を継続していた患者の割合はそれぞれ18.4%(49人)、1.2%(3人)であった。

1回以上投与された全ての患者集団(ITT解析対象)において、カプラン-マイヤー曲線から算出された全生存期間(OS)中央値は、キイトルーダ群(10.3カ月)が化学療法全群(7.4カ月)と比べ有意に延長し(p=0.002)、死亡リスクが27%低下した(ハザード比(HR)=0.73)。治療12カ月後の全生存率はそれぞれ43.9%、30.7%と算出された。

腫瘍PD-L1発現レベル10%以上の患者集団(計164人(30.3%)、キイトルーダ群74人、化学療法全群90人)でも、キイトルーダ群のOS中央値(8.0カ月)が化学療法全群(5.2カ月)と比べ有意に延長し(p=0.005)、死亡リスクが43%低下した(HR=0.57)。キイトルーダの生存ベネフィットは、個別の化学療法との比較でもそれぞれ上回った。

キイトルーダvs化学療法で無増悪生存期間は群間差なし

ITT解析対象において、無増悪生存(PFS)期間中央値はキイトルーダ群(2.1カ月)、化学療法全群(3.3カ月)との間に有意差はなく(HR=0.98)、治療12カ月後の無増悪生存率はそれぞれ16.8%、6.2%と算出された。腫瘍PD-L1発現レベル10%以上の患者集団でもPFS期間に群間有意差はなかった(HR=0.89)。

キイトルーダの奏効率、奏効維持率は化学療法の約2倍

ITT解析対象において、キイトルーダ群の奏効率(21.1%)は化学療法全群(11.4カ月)と比べ有意に高く(p=0.001)、奏効到達期間の中央値は両群とも2.1カ月、奏効持続期間はキイトルーダ群では中央値特定に至っておらず(1.6カ月から15.6カ月超)、化学療法全群では4.3カ月であった。データカットオフ時点で、奏効が維持されていた患者の割合は、キイトルーダ群(72%[41/57人])では化学療法全群(35%[11/31人])のおよそ2倍に達し、奏効を維持した患者集団のうち、治療を継続していた患者の割合はキイトルーダ群(63%[36/57人])が化学療法全群(6%[2/31人])より大幅に高かった。治療12カ月後も奏効が持続する患者の割合は、キイトルーダ群68%、化学療法全群35%と算出され、腫瘍PD-L1発現レベル10%以上の患者集団でも同様の結果が得られた。

キイトルーダは重症度の高い有害事象が少なかった

グレード3、4、または5の治療関連有害事象の発現率は、キイトルーダ群(15.0%)では化学療法全群(49.4%)の半分以下で、治療関連の中止率(各5.6%、11.0%)も約1/2にとどまった。発現率が5%以上のグレード3、4、または5の治療関連有害事象はキイトルーダ群では認められず、化学療法全群では好中球減少症(13.3%)、好中球数減少(12.2%)、貧血(7.8%)、発熱性好中球減少症(7.1%)、および白血球数減少(5.1%)といった骨髄抑制に起因する事象が認められた。

NEJM公式動画(英語) ~Pembrolizumab for Urothelial Carcinoma

Pembrolizumab as Second-Line Therapy for Advanced Urothelial Carcinoma(N Engl J Med 2017; 376:1015-1026)

キイトルーダを化学療法と併用すると有用性は高まるか?タキソテールとの組合せが有望

米国カリフォルニア大学のPrimo N. Lara氏らは、プラチナ製剤を含む一次治療で進行、または再発した尿路上皮がん患者を対象とする化学療法併用の第1相試験(NCT02437370)を実施しており、12人中4人の患者で奏効が得られたことを2017年2月の米国臨床腫瘍学会泌尿器がんシンポジウム(ASCO-GU)で発表した。2月18日のOncLiveでも紹介された。

Lara氏らがこの試験を実施している根拠は、キイトルーダの良好な安全性と忍容性に基づき、タキソテール、またはゲムシタビン(商品名ジェムザール)との併用療法を許容する可能性が高く、また、化学療法が腫瘍抗原の発現を増強することでPD-1標的抗体の効果を際立たせる「刺激(プライミング)効果」の役割を果たすため、有用性が高まるというお仮説である。臨床応用の実現性が高いと期待している。

初回登録の12人をタキソテール群、またはジェムザール群に割り付け(各6人)、全例にキイトルーダ200mgを3週ごとに投与した結果、12人中4人に奏効が得られ、タキソテール併用群の1人は完全奏効(CR)、タキソテール併用群2人、およびジェムザール併用群1人には部分奏効(PR)が認められた。奏効が得られた6人のうち4人はタキソテール併用群である。病勢安定(SD)の2人を含めると病勢コントロール率(DCR)は50%であった。

全12人の無増悪生存(PFS)期間中央値は4.8カ月で、併用の化学療法別ではタキソテール群(5.7カ月)がジェムザール群(3.7カ月)より延長した。

用量制限毒性(DLT)は、タキソテール併用群ではグレード3の低リン血症(1人)、ジェムザール併用群ではグレード3の下痢(1人)であった。グレード3から4の有害事象は12人中7人に発現し、貧血(5人)、疲労(4人)、好中球減少症(4人)、敗血症(2人)、低リン血症(2人)、低ナトリウム血症(2人)、および発疹(1人)であった。

現在、キイトルーダは局所進行、または転移のある尿路上皮がんに対する単剤での一次療法、あるいは二次療法の適応で米国食品医薬品局(FDA)により優先審査を受けており、審査終了目標日は2017年6月14日である。

Pembrolizumab Plus Chemo Shows Promise in Urothelial Carcinoma(OncLive, Saturday, Feb 18, 2017)

Combination checkpoint immunotherapy and cytotoxic chemotherapy: Pembrolizumab (Pembro) plus either docetaxel or gemcitabine in patients with advanced or metastatic urothelial cancer.(ASCO-GU2017, Abstract Number:398)

記事:可知 健太 & 川又 総江
この記事の作成にあたり利益相反はありません。


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