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慢性骨髄性白血病 T315I変異型にも著効 新世代BCR-ABL阻害薬アイクルシグ発売

[公開日] 2016.11.21[最終更新日] 2016.11.21

11月21日、大塚製薬株式会社は、分子標的薬であるチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病と再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ ALL)の治療薬であるポナチニブ(アイクルシグ®)を発売した。 アイクルシグは、BCR-ABLという酵素に作用する次世代チロシンキナーゼ阻害薬である。 慢性骨髄性白血病および一部の急性リンパ性白血病にみられる異常な染色体のことをフィラデルフィア染色体 Ph染色体)といい、異常な酵素を合成します。この酵素はBCR-ABLと呼ばれ、この働きにより造血幹細胞を無制限に増殖し、これらの白血病を引き起こすことが知られている。 よって、BCR-ABLを抑制することによりこれらの腫瘍細胞の増殖が抑えられるために、BCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬としてイマチニブ(グリベック)等の分子標的薬が開発され多くの患者さんは寛解できるようになった。現在、イマチニブ(グリベック)の他に、ニロチニブ(タシグナ)、ダサチニブ(スプリセル)およびボスチニブ(ボシュリフ)といったチロシンキナーゼ阻害薬が使用される。 しかしながら、薬剤を使用し続けることにより、薬剤に対する耐性が発現するケースがある。 中でも、腫瘍細胞のT315Iという遺伝子が変異することにより耐性を得るタイプは、耐性獲得の変異としては最も多いにも関わらず最も難治性といわれている。 アイクルシグはT315I変異に対しても阻害作用を示すように設計されており、既存のBCR-ABLチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性(効果がなくなった方)または不耐容(副作用などにより薬剤が使用できなくなった方)の慢性骨髄性白血病、再発または難治性のフィアデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病、特にT315I変異に代表される変異型BCR-ABLにも効果を示す。 アイクルシグの作用機序 無題 大塚製薬HPより なお、大塚製薬は、倫理的観点より、国内治験実施施設に限定して、製造販売承認取得後から本剤の無償提供を実施していたが、薬価基準収載に伴い無償提供を終了した。 ◆製品情報◆ アイクルシグ錠15mg(ポナチニブ塩酸塩、大塚製薬) 薬効分類:429 その他の腫瘍用薬(内用薬) 効能・効果:「前治療薬に抵抗性または不耐容の慢性骨髄性白血病」「再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病」 薬価:15mg1錠 6318.30円 2016y11m21d_210108280 大塚製薬プレスリリースはコチラ 記事:可知 健太
ニュース 悪性リンパ腫 アイクルシグ

3Hメディソリューション株式会社 執行役員 可知 健太

オンコロジー領域の臨床開発に携わった後、2015年にがん情報サイト「オンコロ」を立ち上げ、2018年に希少疾患情報サイト「レアズ」を立ち上げる。一方で、治験のプロジェクトマネジメント業務、臨床試験支援システム、医療機器プログラム開発、リアルワールドデータネットワーク網の構築等のコンサルテーションに従事。理学修士。

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