■この記事のポイント
・低リスク前立腺がんに2種類の放射線治療成績を確認する臨床試験結果。
・1回の照射線量を増やし放射線治療期間を短くする寡分割照射(結果的に総照射線量も少ない)と、通常照射を比較。
・再発しなかった割合は通常照射群が85%、寡分割照射群は86%と治療成績に変化なし。
・副作用は通常照射群の方が高い結果であり、寡分割照射群の方が推奨される可能性がある。


1月7日から9日まで米国サンフランシスコで開催された米国癌治療学会 尿路悪性腫瘍シンポジウム(ASCO GU2016)で、米国デューク大学のロバート・リー氏によって「低リスク前立腺がんに対する放射線治療に関する臨床試験結果」が発表されました。

本試験は、低リスク前立腺患者1,115名に対して、放射線治療として、線量70グレイ(Gy)の寡分割照射(1回の照射量を増やして、照射期間も短くする手法)と73.8グレイの通常照射した場合の再発する割合を比較する試験となります。非劣性(同じ効果)であれば、短い期間での放射線治療が良いことになり、そのことを確認することを目的とする試験でした。

放射線期間が短くしても同じ効果であることが示された、照射期間が長い照射群は副作用が1.3倍増加

ポイントは以下の通り

◆ 対象患者
1,115名の低リスク前立腺がん患者が臨床試験にエントリーされました。低リスク前立腺がん患者の定義は以下の通りです。
・病期ステージ T1-2a の局所(リンパ節転移や多臓器転移がない)に限定された前立腺がん
・病理(腫瘍細胞の形)を示すグリーソンスコアが6未満
・PSA(ピーエスエー)の値が10未満

◆試験概要
・より放射線期間が短い治療でも有効性が劣らないか(非劣性)を検証する。
・試験方法は以下の通りです。

図1

◆ 試験結果
・7年目の無再発生存率(がんが再発する割合)は、寡分割照射群が85%、通常照射群は86%となり、照射線期間が短くとも有効性が劣らないことがこの臨床試験により判明しました。
・副作用発現は、寡分割照射群で消化管や泌尿器系でグレード2に相当するものが、通常照射群よりも1.3倍程度高くなることが示されています。

NRG Oncology RTOG 0415: A randomized phase III non-inferiority study comparing two fractionation schedules in patients with low-risk prostate cancer.(ASCO 2016 Genitourinary Cancers Symposium;Abstract Number:01)

Radiation Therapy in Treating Patients With Stage II Prostate Cancer(Clinical trials.gov:NCT00331773)

【前立腺がんの病期(ステージ)分類・悪性度について】
病期(ステージ)とはがんの進み具合を分類したものです。前立腺がんの場合、『がんが前立腺の中にとどまっているか?周囲の臓器までに広がっているか?』、『リンパ節転移があるか』及び『他の臓器に転移しているか』を組み合わせて決定します。
悪性度とはがん細胞をその性質にわけてリスクの高いものから低いものまで5段階に分類したものです。グリーソン・スコアと呼ばれています。病期、悪性度、PSA値を組み合わせてリスクが分類され、治療方針の参考とされています。

記事:前原 克章(修正・構成:可知 健太)


この記事に利益相反はありません。

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