4重野生型 大腸がん セツキシマブ 継続使用が有効な可能性WCGC2015


  • [公開日]2015.09.01
  • [最終更新日]2017.06.13

7月1日から4日までスペイン・バルセロナで開催されていた欧州腫瘍学会(ESMO)第17回世界消化器がん学会(WCGC2015)にて、「転移性大腸がんを有する患者を対象に、FOLFIRIとセツキシマブアービタックス)を併用投与し、増悪後に2次治療としてFOLFOXとセツキシマブを併用した場合の有効性に関する第2相試験結果」が、イタリア、ナポリ第2大学教授のFortunato Ciardiello氏によって発表されました。

本試験者、1次治療として「FOLFIRIとセツキシマブ」を実施したKRASエクソン2野生型腫瘍を有する転移性大腸がん患者に対して、2次治療として「FOLFOXとセツキシマブ併用投与群(74人)」と「FOLFOX単独投与群(n=79)」を使用したときの効果を確認しています。

ポイントは以下の通りです。
・腫瘍の増大を抑えた期間⇒FOLFOX+セツキシマブ6.4カ月 vs FOLFOX単剤4.5カ月。ただし、統計学的には差があると証明できなかった。
・上記の患者のうち、がん細胞の遺伝子を解析できた117人の遺伝子を調べた結果
⇒66人がKARS、NRAS、BRAF、またはPIK3CA遺伝子に変異(異常)が認められず(4重野生型という)、51人がこれらの遺伝子のうち少なくとも1つ以上に変異(異常)が認められた。
*ノート:KRAS、NRAS、BRAFおよびPIK3CAに異常があるとEGFR阻害薬は効果が出づらいといわれている。
・KRAS、NRAS、BRAFおよびPIK3CA遺伝子に変異のない患者のみで解析すると、腫瘍の増大を抑えた期間のリスク軽減率は44%、全生存率のリスク軽減率は43%であり、統計学的にも証明された。

図5

ESMO広報担当であるAndrés Cervantes教授(バレンシア大学)は「これにより、化学療法を変更して増悪後も同じ抗EGFR抗体薬によって治療が可能なKRAS、NRAS、BRAFおよびPIK3CA遺伝子の野生型を有する特定の患者群に対する新しい治療方法が分かりました。本試験におけるITT解析では有効な結果が得られていませんが、変異のない患者にとってこのアプローチは有効です」と述べています。

ESMO(英語サイト)
World GI 2015 Press Release: Second-line Cetuximab Active Beyond Progression in Quadruple Wild-type Patients with Metastatic Colorectal Cancer

海外癌医療情報リファレンス参照
四重野生型転移性大腸がん患者における二次治療でセツキシマブの継続使用が有効―第17回世界消化器がん学会プレスリリース/欧州臨床腫瘍学会(ESMO2015)

記事:可知 健太

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日本癌医療翻訳アソシエイツの許可のもと海外癌情報リファレンスを参照しているものの、それとともに原文を参照にしたオンコロオリジナル記事となり、本記事作成に日本癌医療翻訳アソシエイツは関与しておりません。

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