慢性リンパ性白血病 BCL-2阻害薬venetoclax第2相試験で腫瘍抑制効果


  • [公開日]2015.08.25
  • [最終更新日]2015.10.21

8月12日、スイスのF. ホフマン・ラ・ロシュは、17番染色体短腕(17p)欠失の再発もしくは難治性慢性リンパ性白血病(CLL)患者を対象にした第2相臨床試験においてBCL-2阻害薬venetoclaxに抗腫瘍効果が認められたことを発表しました。

venetoclaxは細胞のアポトーシス(細胞死)が起こるときに重要な働きをするBCL-2蛋白を阻害する低分子化合物で、米国食品医薬品局(FDA)によって17p欠失CLLの既存治療に対するBreakthrough Therapy(ブレークスルー・セラピー:画期的治療薬)として認定を受けています。

この臨床試験では、17p欠失の再発もしくは難治性CLL患者に対するvenetoclaxの単剤投与により、臨床的に意義のあるがん細胞の減少(ORR)が見られ、当該臨床試験における主要評価項目を達成したとのことです。

臨床試験での詳細な結果は、今後開催される学会で発表されるそうです。

また、venetoclaxは2015年末までにFDA、欧州医薬品局(EMA)への承認申請が計画されています。

F. ホフマン・ラ・ロシュのプレスリリース(英語)はコチラ

【上記試験の詳細】
clinical trials.gov(英語)

【17p欠失慢性リンパ性白血病とは】
17番染色体短腕(17p)欠失慢性リンパ性白血病患者は予後が悪く、既存の薬剤治療では効果を示さないことが分かっています。17番染色体上にはアポトーシス(細胞死)を制御するp53遺伝子が存在していることが原因であるとされています。17pの欠失は未治療の慢性リンパ性白血病患者のうち3~10%、再発・難治性では30~50%の患者に存在するとされています。

記事;川村 千恵

×

リサーチのお願い


会員登録 ログイン