【募集終了】転移性乳がん対象 PARP阻害薬オラパリブ(リムパーザ)の第3相臨床試験


  • [公開日]2015.10.29
  • [最終更新日]2017.11.27[情報更新] 2017/11/27

この試験の募集は終了しています。

<一般的な説明>

試験概要

 本治験は、BRCA(ぶらか、ぶらっか)とよばれる遺伝子変異を有する転移性乳がん患者を対象に、オラパリブ(リムパーザ)を単独で使用したときの有効性及び安全性を、医師が選択したカペシタビンゼローダ)、ビノレルビン(ナルベリン)又はエルブリン(ハラヴェン)による標準治療と比較して評価する第3相臨床試験です。治験に登録されるまではどちらの薬剤を使用するかはわかりませんが、使用する際、どちらの薬剤を使用するかはわかります。

治験薬剤の説明

 がん細胞のDNAが損傷した時に修復する1つの酵素にPARP(ポリADPポリメラーゼ)というたんぱく質があります。このたんぱく質の機能を阻害(抑制する)ことにより、がん細胞のDNAが損傷した時に修復できず、がん細胞を死滅することができると言われています。2014年には特定の卵巣がんに対して米国やEUにて承認されました。
 一方、がん細胞のDNAが損傷したときにBRCAという遺伝子が関与してDNAを修復します。がん細胞のBRCAが変異(異常)であると修復機能が働きません。しかしながら、PARPという酵素はDNAを修復できるタンパク質であり、BRCA遺伝子の代わりにがん細胞のDNAを修復してしまいます。オラパリブ(リムパーザ)はPARPを阻害する機能があるため、特にBRCA遺伝子に異常がある方に効果があると期待されています。

BRCA遺伝子変異図2

 

主な参加条件等

この試験の対象となりうる方

  1. 18歳以上の方
  2. BRCA1 又はBRCA2 の変異が認められる方
  3. 組織診又は細胞診により乳がんが確認されている患者で、転移を有する方
  4. 術後補助療法又は転移病変に対する治療としてアントラサイクリン系(ドキソルビシンやエピルビシン)及びタキサン系(タキソールなど)の投与を受けたことのある方
  5. 進行乳がんに対してプラチナ系製剤(シスプラチン又はパラプラチンなど)の投与を受けている患者は、プラチナ製剤による化学療法中に病勢進行が認められなかった方。
  6. ER 及び/又はPgR 陽性病変を有する患者(ホルモン受容体陽性患者)は、内分泌療法による治療を一次治療以上受けて病勢が進行しているか、又は治療担当医師により内分泌療法が不適切であると考えられた病変を有している方。
  7. パフォーマンスステータスが0~1の方

この試験の対象とならない方

  1. HER2 陽性病変を有する方
  2. 転移性病変に対して三次治療以上の細胞傷害性化学療法(ホルモン療法分子標的薬療法を除く、ごく一般的な抗がん剤治療)を受けている方
  3. 未治療または非制御の脳転移を有する方
  4. PARP阻害薬を用いた治療を受けたことのある方

臨床試験公開情報

JAPIC No : JapicCTI-142527(最終更新日2015/11/18)詳細はコチラ
ClinicalTrials.gov Identifier : NCT02000622 (最終更新日2015/7/20)詳細はコチラ

治験概要

生殖細胞系BRCA1/2 変異を有する転移性乳癌患者を対象としてオラパリブ(リムパーザ)単剤療法と医師が選択した化学療法の有効性と安全性を比較検討する非盲検無作為化対照比較多施設共同第3相試験;OlympiAD

対象がん種 転移性乳がん、BRCA1/2遺伝子変異
フェーズ P3
実施期間 214年3月~2016年5月
実施国 米国、ブルガリア、フランス、ハンガリ、イタリア、日本、大韓民国、メキシコ、ペルー、ルーマニア、スペイン、スイス、台湾、トルコ、英国
目標症例 310
状況 募集終了
手法 ランダム化オープンラベル
被験薬名 一般名:オラパリブ、 商品名:リムパーザ
種類 PARP阻害薬
投与経路 経口

<専門的な説明>

試験概要

 本治験は、gBRCA1/2 変異を有する転移性乳癌患者を対象に、オラパリブ(リムパーザ)を単独投与したときの有効性及び安全性を、医師が選択したカペシタビン、ビノレルビン又はエルブリンによる標準治療と比較して評価する非盲検無作為化対照比較多施設共同第3相試験である。(JAPIC-CTI)

治験薬剤の説明

 Olaparib は、革新的なファースト・イン・クラスの経口ポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤で、DNA修復経路に異常をきたしたがん細胞に特異的に作用し、細胞死を誘導します。この作用機序により、OlaparibのDNA修復に異常をきたした一連の腫瘍型に作用する可能性が示されています。
 卵巣がんに加えて、アストラゼネカは複数の腫瘍におけるOlaparibの可能性の検討を行っており、乳がんの術後補助療法および転移性BRCA遺伝子変異陽性乳がん、BRCA遺伝子変異陽性膵がん、胃がんの2次治療の第III相試験を実施中です。(2014/12/24時点)
 アストラゼネカHPプレスリリースより抜粋:http://www.astrazeneca.co.jp/media/pressrelease/Article/20141224

注意

・試験タイトルに英語記載がある場合、JAPIC等の日本語公開情報に掲載がないことを意味します。
・試験概要の「専門的な説明」は、JAPICやUMINに情報がある場合はそこから、ない場合はClinidcaltrials.govから転記しています。
・薬剤の「専門的な説明」は、開発企業に情報がある場合はそこから、ない場合はNCI(National Cancer Institute)から転記しています。
・専門的な記載を一般の方がわかるよう記載していますが、当社の認識が誤っていることがありますので、必ず実際の公開情報を確かめてください。
・実施医療機関は明記できませんが、実際の公開情報に明記されている場合があります。
・主な参加条件には記載された基準以外にも多くの基準があります。

初回作成:可知 健太

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