多発性骨髄腫とキイトルーダ(ペムブロリズマブ)について

多発性骨髄腫とは血液細胞のがんです。血液細胞には赤血球、白血球、血小板、そしてリンパ球などがありますが、多発性骨髄腫はリンパ球の一種であるB細胞が分かれて抗体を作るために発達した形質細胞のがんです。

正常な形質細胞は細菌やウィルスが体内に入ると、抗体を作ることで感染症や他の病気に罹患することを防ぎます。

しかし、形質細胞はがん化した骨髄腫細胞になると体内で異常に増殖し、多発性骨髄腫をはじめとした形質腫瘍細胞に関わる病気を発症させます。

骨髄腫細胞が増殖することで引き起こる影響は造血機能の異常、異常免疫グロブリンの増殖、骨の組織の破壊の3つです。

ですので、多発性骨髄腫の症状としては造血機能が異常を来すことで引き起こる貧血、異常免疫グロブリンが増えることによる免疫機能の低下、骨破壊による骨折、高カルシウム血症などが現れます。

これら症状が骨髄腫細胞の増殖が原因であることは判っていますが、なぜ骨髄腫細胞が増殖するのか?その原因は判っておりません。

遺伝子異常、染色体異常など様々な原因は考えられますが原因が特定できないので、多発性骨髄腫の現在の治療はプロテアソーム阻害薬のボルテゾミブ、免役調整薬であるレナリドミドなど臨床での効果が明らかな複数の作用機序の薬剤を併用する治療方法が標準です。

これら治療方法を試みた結果、近年の多発性骨髄腫の治療成績は飛躍的に向上しましたが、

ペムブロリズマブ

の登場によりさらなる向上が期待されています。なぜなら、多発性骨髄腫の患者さんにおいてもペムブロリズマブの効果予測因子として注目されているPD-L1が発現率しているからです。

またPD-L1の発現率に応じてペムブロリズマブの効果がある患者さんとそうでない患者さんの存在が明らかになっています。

例えば、PD-L1の発現率が50%以上の多発性骨髄腫の患者さんは、50%未満の患者さんと比較して深い奏功を得る確率が高いことが判ってます。そして、深い奏功を得る患者さんはPFS(無増悪生存期間)の延長につながることが判っています。

以上のように、ペムブロリズマブの登場により薬剤を投与する明確な基準が新しく発見されたので、ますます多発性骨髄腫の治療成績が向上することでしょう。

キイトルーダ(ペムブロリズマブ)の薬剤概要

製品名

キイトルーダ

一般名

ペムブロリズマブ(pembrolizumab)

用法用量

ペムブロリズマブとして200mgを2週間間隔で点滴静注する

効能効果

再発・難治性の多発性骨髄腫

主な副作用

好中球減少、高血糖、貧血、上気道感染、リンパ球減少症、疲労、間質性肺炎、甲状腺機能低下症、経静脈炎、副腎不全、白斑

製造承認日

2014年9月(国内・悪性黒色腫)

薬価

キイトルーダ点滴静注20mg:84488円
キイトルーダ点滴静注100mg:410541円

キイトルーダ(ペムブロリズマブ)の作用機序

ペムブロリズマブ

ASCO

ペムブロリズマブはヒト PD-1 に対する抗体であり、PD-1 とそのリガンド(PD-L1 及び PD-L2)との結合を阻害することにより、腫瘍特異的な細胞傷害性T細胞を活性化させ、腫瘍増殖を抑制すると考えられている

キイトルーダ(ペムブロリズマブ)の最新文献

・2015年12月3日
1)Pembrolizumab in Combination with Lenalidomide and Low-Dose Dexamethasone for Relapsed/Refractory Multiple Myeloma
少なくとも2回以上の治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫の患者さんに対して、ペムブロリズマブを2mg/kg、レナリドミド10mgもしくは25mg、デキサメタゾン40mgの併用療法を投与してその薬剤投与量を決定した試験

ペムブロリズマブ(キイトルーダ)の口コミ

医師のコメント

その他医療関係者のコメント

キイトルーダ(ペムブロリズマブ)の治験情報

1)Study of Lenalidomide and Dexamethasone With or Without Pembrolizumab (MK-3475) in Participants With Newly Diagnosed Treatment Naive Multiple Myeloma

治験の概要

移植非適応の新規多発性骨髄腫患者さんに対して、ペムブロリズマブを200mg、レナリドミド25mg、デキサメタゾン40mgの併用療法を投与してPFS(無増悪生存期間)を検証する治験

治験の期限

2019年3月

2)A Phase III Study of Pomalidomide and Low Dose Dexamethasone With or Without Pembrolizumab (MK3475) in Refractory or Relapsed and Refractory Multiple Myeloma

治験の概要

少なくとも2回以上の治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫の患者さんに対してペムブロリズマブを200mg、ポマリドミド4mg、デキサメタゾン40mgを投与する群と、ポマリドミド4mg、デキサメタゾン40mgを投与する群とで比較してPFS(無増悪生存期間)を検証した治験

治験の期限

2018年7月

参考資料

1)キイトルーダ点滴静注20mg、100mg添付文書
2)Pembrolizumab Triplet Induces Durable Responses for Multiple Myeloma


この記事に利益相反はありません。

人気記事