ステージ4非小細胞肺がんに対する免疫チェックポイント阻害薬PD-1抗体ペムブロリズマブ(キイトルーダ)の第3相試験


  • [公開日]2016.01.11
  • [最終更新日]2017.11.13[タグの追加] 2017/11/13

ポイント:本試験は、未治療の進行非小細胞肺がん患者を対象とした免疫チェックポイント阻害薬PD-1抗体ペムブロリズマブ(キイトルーダ/キートルーダ)と標準療法を比較する第3相臨床試験となります。

<一般的な説明>

試験概要

がん細胞上にPD-L1というタンパク質が発現している(発現量は問わない)ステージ4の転移の認められる非小細胞肺がん患者さんのうち、治療を行っていない方を対象にペムブロリズマブとプラチナ製剤(商品名:パラプラチン、ブリプラチンなど)とペメトレキセド(商品名:アリムタ)を使用した標準化学療法(通常、治療されるであろう薬剤治療)の有効性安全性を比較する試験です。

治験薬剤の説明

通常、細菌等の異物が体内に認められたときに免疫細胞が攻撃します。一方、がん細胞は免疫細胞から異物と認められないような機能を有しますが、その時にPD-1やPD-L1というタンパク質がかかわっています。MK3475(ペムブロリズマブ)はその機能を無効にできると期待されています。結果、がん細胞を異物であると認識することができるようになります。がん細胞を異物と認識できるようになると、免疫細胞ががん細胞を攻撃できるようになります。

免疫チェックポイント阻害薬

主な参加条件等

この試験の対象となりうる方

  1. 18歳以上の方
  2. 進行性又は転移性非小細胞性肺がんの方で薬剤治療を行っていない方。ただし、手術後に補助化学療法として薬剤治療をを行っている場合は、転移性と診断される6か月前に治療が完了している方
  3. 腫瘍組織から採取した腫瘍組織検体を提出できる方
  4. PD-L1発現が確認された方
  5. ECOG PSが0~1の方

この試験の対象とならない方

  1. EGFR遺伝子及びEML4/ALK遺伝子に異常が認められる方
  2. 症候性中枢神経系への転移又はがん性髄膜炎を合併している方。

臨床試験公開情報

JAPIC No : JapicCTI-152877(更新日:2015/4/22)詳細はコチラ
ClinicalTrials.gov Identifier:NCT02220894(更新日:2016/2/24)詳細はコチラ

PD-L1発現陽性の進行性又は転移性非小細胞肺癌の未治療患者を対象としたMK-3475とプラチナ製剤併用化学療法の全生存期間を比較する無作為化非盲検第III相試験(Keynote 042)

対象がん腫 非小細胞肺がん
フェーズ P3
実施期間 2014年10月~2019年7月
実施国 日本、アルゼンチン、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、
チェコ、エストニア、グアテマラ、香港、韓国、ラトビア、
リトアニア、マレーシア、メキシコ、ペルー、フィリピン、ポーランド、
ポルトガル、ルーマニア、ロシア、南アフリカ、スウェーデン、台湾、
タイ、トルコ、ウクライナ
目標症例 1240
状況 募集中
手法 無作為化、非盲検、実薬対照試験
被験薬名 MK-3475(一般名:ペンブロリズマブ、商品名:Keytruda)
種類 免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-1抗体)
投与経路 静脈内投与

<専門的な説明>

試験概要

本試験はPD-L1発現陽性の非小細胞肺癌患者をMK-3475の35コース投与又はプラチナ製剤併用化学療法(標準化学療法)(カルボプラチン+パクリタキセル又はカルボプラチン+ペメトレキセドを3週間間隔投与を4-6コース)に無作為化され治療を受ける。
非扁平上皮癌患者プラチナ製剤併用療法群は、4-6コース完了後ペメトレキセドの維持療法を実施することができる。
本試験の主要仮説は、MK-3475は、標準化学療法と比較し、OSを延長することである。

治験薬剤の説明

A humanized monoclonal IgG4 antibody directed against human cell surface receptor PD-1 (programmed death-1 or programmed cell death-1) with potential immunopotentiating activity. Upon administration, pembrolizumab binds to PD-1, an inhibitory signaling receptor expressed on the surface of activated T cells, and blocks the binding to and activation of PD-1 by its ligands, which results in the activation of T-cell-mediated immune responses against tumor cells. The ligands for PD-1 include PD-L1, which is expressed on antigen presenting cells (APCs) and overexpressed on certain cancer cells, and PD-L2, which is primarily expressed on APCs. Activated PD-1 negatively regulates T-cell activation through the suppression of the PI3K/Akt pathway. Check for active clinical trials or closed clinical trials using this agent. (NCI Thesaurus)
(National cancer institute drug dictionaryより:http://www.cancer.gov/publications/dictionaries/cancer-drug?CdrID=695789)

注意

・試験タイトルに英語記載がある場合、JAPIC等の日本語公開情報に掲載がないことを意味します。
・試験概要の「専門的な説明」は、JAPICやUMINに情報がある場合はそこから、ない場合はClinidcaltrials.govから転記しています。
・薬剤の「専門的な説明」は、開発企業に情報がある場合はそこから、ない場合はNCI(National Cancer Institute)から転記しています。
・専門的な記載を一般の方がわかるよう記載していますが、当社の認識が誤っていることがありますので、必ず実際の公開情報を確かめてください。
・実施医療機関は明記できませんが、実際の公開情報に明記されている場合があります。
・主な参加条件には記載された基準以外にも多くの基準があります。

臨床試験(治験)とは

・当サイトは積極的に日本で実施されている臨床試験情報(治験)を紹介していますが、臨床試験は効果や安全性を確認することが主たる目的となる場合が多く、確立されている治療法を示しているものではありません。参加を検討する際には、臨床試験のリスクとベネフィットをよく理解してください。宜しければ、「もっと知ってほしい薬の開発と臨床試験のこと」をご参照ください。
・その他、「臨床試験記載のルールについて」をご確認ください。

初回作成・更新:可知 健太

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