非小細胞肺がんの新薬ロルラチニブの治験を受ける前に知っておきたい7つのこと


  • [公開日]2017.04.29
  • [最終更新日]2019.02.22

非小細胞肺がんの新薬ロルラチニブについて

ALK陽性進行非小細胞肺がんの治療成績はALK阻害剤であるザーコリクリゾチニブ)が2012年3月30日に承認されたことを機に、劇的に向上しました。

ALK陽性とはALK 融合遺伝子と呼ばれるがん細胞の増殖に関わる遺伝子があることを意味し、肺がん(非小細胞肺がん)の患者さんの約3~5%に認められることが判っています。

ALK 融合遺伝子のある患者さんではない患者さんに比べてがん細胞の増殖速度が早く、また既存の抗がん剤などには効果を示さないため、ザーコリ(クリゾチニブ)をはじめとしたALK阻害剤による治療が必要となります。

ALK阻害剤はその治療効果の高さから第一世代、第二世代とその開発が進められて、遂に第三世代ALK阻害剤と呼ばれる

ロルラチニブ

の開発までたどり着きました。第三世代ALK阻害剤であるロルラチニブは既存のALK阻害剤投与により出現する獲得耐性、つまり投与継続期間に応じて効果の減弱化する弱点を克服したALK阻害剤です。

ロルラチニブの薬剤概要

製品名

未定

一般名

ロルラチニブ(Lorlatinib)

用法用量

未定(100mg1日1回)

効能効果

未定(ALK陽性またはROS1陽性の進行非小細胞肺がん)

主な副作用

未定(高コレステロール血症、末梢性浮腫)

製造承認日

未定

ロルラチニブの作用機序

ALK/ROS1チロシンキナーゼ阻害剤

ロルラチニブの最新情報

1)First macrocyclic 3rd-generation ALK inhibitor for treatment of ALK/ROS1 cancer: Clinical and designing strategy update of lorlatinib

概要

非小細胞肺がんのキードラッグである第二世代ALK阻害剤は獲得耐性が生じる。しかし、第三世代ALK阻害剤であるロルラチニブはALK / ROS1駆動腫瘍モデルにおいて適切なキナーゼ選択性、選択的脳浸透、強力な抗増殖活性を示しすことで、第二世代ALK阻害剤により生じる獲得耐性を克服できる可能性が示唆された。

出典

European Journal of Medicinal Chemistry

配信日

2017年4月

2)Efficacy and safety of lorlatinib in patients (pts) with ALK+ non-small cell lung cancer (NSCLC) with one or more prior ALK tyrosine kinase inhibitor (TKI): A phase I/II study.

概要

ザーコリまたはその他のALK阻害剤での治療歴を持つALK陽性転移性非小細胞肺がん患者190人に対してロルラチニブを投与して、そのRR(奏効率)を検証する第二相試験。結果は、CR(完全奏効)2.1%を含む32.9%の患者が奏効を示した。また、脳転移を有する患者での脳腫瘍の縮小率は48.1%でした。副作用としては高コレステロール血症、高脂血症が出ましたが、どれもコントロール可能なものでした。

出典

ASCO2017 Annual Meeting

配信日

2017年6月6日

ロルラチニブの治験情報

1)A Study Of PF-06463922 An ALK/ROS1 Inhibitor In Patients With Advanced Non Small Cell Lung Cancer With Specific Molecular Alterations

治験の概要

クリゾチニブが投与されたALK陽性またはROS1陽性の進行非小細胞肺がん患者さんに対して、ロルラチニブを1日1回10mgより開始し、漸増し、その有効性安全性を検証する治験

治験の期限

2018年4月10日

2)A Study Of Lorlatinib Versus Crizotinib In First Line Treatment Of Patients With ALK-Positive NSCLC

治験の概要

未治療のALK陽性進行非小細胞肺がん患者さんに対して、クリゾチニブを投与する群、ロルラチニブを群に分けて、そのPFS(無増悪生存期間)を比較検証する治験。

治験の期限

2023年4月12日

参照
1)ファイザー株式会社プレスリリース
2)肺がん診療ガイドライン2016年版

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