非小細胞肺がんの新薬デュルバルマブの治験を受ける前に知っておきたい7つのこと


  • [公開日]2016.12.30
  • [最終更新日]2020.03.18

非小細胞肺がんの新薬デュルバルマブとは

オプジーボニボルマブ)、キイトルーダペムブロリズマブ)が2016年に刷新されました肺がん診療ガイドラインの推奨薬剤として掲載されるなど、非小細胞肺がんにおいて抗PD-1/PD-L1抗体薬は確固たる地位を築きつつあります。

今後もし非小細胞肺がんの治療成績を劇的に向上される治療方法が開発されるとしたら、抗PD-1/PD-L1抗体薬に何かしら薬を組み合わせる併用療法以外に考えられないでしょう。

現在のところ抗PD-1/PD-L1抗体薬は、肺がんの中でも約80%を占めるとされる非小細胞肺がんの一次治療、又は二次治療において単剤療法で良好な治療成績が認められています。

非小細胞肺がんの一次治療では、抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤がPD-L1発現率50%以上の患者に対して有効性を証明しております。また、二次治療では、キイトルーダと同じ作用機序の抗PD-1抗体薬オプジーボ単剤療法、キイトルーダとは違う作用機序である抗PD-L1抗体薬のテセントリクアテゾリズマブ)単剤療法がPD-L1発現率に関係なく有効であることが証明されております。

以上のように、抗PD-1/PD-L1抗体薬単剤でその有効性が証明されいる場合、他の作用機序を持つ薬剤と併用することでさらに良好な治療成績を出せる可能性があります。抗PD-1/PD-L1抗体薬としては5番目に発売予定の

デュルバルマブ

は他の抗PD-1/PD-L1抗体薬よりも発売が遅れた分を取り戻すため、同じがん免疫療法でありながら抗PD-1/PD-L1抗体薬とは違った作用機序を持つ抗CTLA-4抗体薬であるトレメリムマブとの併用療法での承認を目指しています。

この併用療法に期待されていることは、ただ1つ。それは、EFGR、ALKなどの遺伝子変異、PD-L1発現率など、その患者背景に関係なく非小細胞肺がん患者ならば誰でも有効性のある治療であることです。特に、非小細胞肺がんの一次治療から誰にでも有効性のある抗PD-1/PD-L1抗体薬は現在のところ存在しませんのでデュルバルマブに期待されています。

デュルバルマブの薬剤概要

製品名

未定

一般名

デュルバルマブ(durvalumab)

用法用量

未定(デュルバルマブとして2週間に1回10mg/kgを点滴静注する)

効能効果

未定(進行再発非小細胞肺がん)

主な副作用

未定(疲労、下痢、食欲減退)

製造承認日

未定

デュルバルマブの作用機序

twitter

デュルバルマブはPD-1とのPD-L1の相互作用を阻害し、腫瘍の免疫からの逃避機構が働かないようにすることで腫瘍効果を発揮します

デュルバルマブの最新情報

1)Safety and antitumour activity of durvalumab plus tremelimumab in non-small cell lung cancer: a multicentre, phase 1b study

概要

ステージⅣ非小細胞肺がん患者の一次治療として、トレメリムマブ+デュルバルマブ併用療法を投与し、その安全性を検証した試験。

出典

The Lancet

配信日

2016年2月5日

2)A Phase III Study of Durvalumab (MEDI4736) With or Without Tremelimumab for Previously Treated Patients With Advanced NSCLC: Rationale and Protocol Design of the ARCTIC Study

概要

プラチナ製剤ベースの治療を含む少なくとも2つ以上の治療を受けたステージⅢbもしくはⅣのEGFR遺伝子変異陰性かつALK遺伝子転座陰性非小細胞肺がん患者に対してデュルバルマブ単剤療法、又はデュルバルマブ+トレメリムマブ併用療法、又は標準化学療法を投与し、PFS(無増悪生存期間)OS(全生存期間)を検証した試験

出典

Clinical-Lung-Cancer

配信日

2016年3月

デュルバルマブの口コミ

医師のコメント

その他医療関係者のコメント

デュルバルマブの治験情報

1)Study of 1st Line Therapy Study of MEDI4736 With Tremelimumab Versus SoC in Non Small-Cell Lung Cancer (NSCLC) (NEPTUNE)

概要

ステージⅣのEGFR遺伝子変異陰性かつALK遺伝子転座陰性非小細胞肺がん患者の一次治療として、デュルバルマブ+トレメリムマブ併用療法、またはパクリタキセルカルボプラチン併用療法、又はゲムシタビン+シスプラチン併用療法などの標準治療を投与し、OS(全生存期間)を検証する治験

期限

2018年10月

2)Double Blind Placebo Controlled Controlled Study of Adjuvant MEDI4736 In Completely Resected NSCLC

概要

非小細胞肺がん患者の術後療法としてデュルバルマブ単剤療法、又はプラセボ単剤療法を投与しそのDFS無病生存期間)を検証する治験

治験の期限

2025年1月

参照
1)アストラゼネカ株式会社プレスリリース
2)肺がん診療ガイドライン2016年版

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