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上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤による治療後に進行が認められた、上皮成長因子受容体遺伝子においてT790M変異を有する局所進行又は転移性非小細胞肺癌患者を対象に、AZD9291と白金製剤を用いた2剤併用化学療法を比較する第3相非盲検無作為化試験(AURA3)
対象がん腫 | 非小細胞肺がん |
フェーズ | P3 |
実施期間 | 2014年8月~2016年6月 |
実施国 | 日本、アメリカ、オーストラリア、カナダ、フランス、ドイツ、香港 イタリア、韓国、オランダ、ロシア、スペイン、台湾、イギリス |
目標症例 | 610 |
状況 | 募集終了 |
手法 | 非盲検試験 |
被験薬名 | AZD9291(一般名:-----、 商品名:-----) |
種類 | 分子標的薬(EGERチロシンキナーゼ阻害薬) |
投与経路 | 経口薬剤 |
試験概要
<専門的な説明>
上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害剤による治療後に進行が認められた、上皮成長因子受容体遺伝子においてT790M変異を有する局所進行又は転移性非小細胞肺癌患者を対象に、AZD9291と白金製剤を用いた2剤併用化学療法を比較する第3相非盲検無作為化試験<一般的な説明>
がん発現に深くかかわるとされているEGFR遺伝子の変異を有する局所進行(周辺の組織やリンパ節へ進行した)又は多臓器への転移を認められた非小細胞肺がん患者のうち、既に承認・発売されてされているEGFRチロシンキナーゼ阻害薬を使用して効果がなくなった方を対象にAZD9291単剤とプラチナ製剤(カルボプラチン;商品名パラプタチン又はシスプラチン;商品名ランダ、ブリプラチン)とペメトレキセド(商品名:アリムタ)を併用使用した際の、安全性や効果を確認する試験となります。なお、AZD9291を使用できない群になったとしても、プラチナ製剤併用療法の効果がなくなった場合にAZD9291を使用できます。治験薬剤の説明
<専門的な説明>
AZD9291は、現在開発中の野生型EGFRには作用せず、EGFR活性化変異 と耐性遺伝子変異であるT790Mの双方を阻害する、選択性の高い不可逆的阻害剤です。また、AZD9291は、高血糖の可能性を回避するために、インスリン受容体およびインスリン様成長因子受容体(IFGR)の2つの生物学的受容体に対する作用を最小限に抑える、もしくはそれらに作用しないように設計されています。高血糖を発症した場合、結果的に患者は新たな治療薬による治療を要することになります。 アストラゼネカHPプレスリリース2014/10/2:http://www.astrazeneca.co.jp/media/pressrelease/Article/20141002<一般的な説明>
EGFRとは上皮成長因子受容体と呼ばれるたんぱく質のことで、がん細胞の表面に無数に存在し、がん細胞を増殖するスイッチの役割を果たしています。通常、スイッチをオンにするには鍵となるたんぱく質が必要となりますが、EGFR遺伝子に変異(異常)が起こると、鍵がなくてもスイッチがオンの状態となってしまいがん細胞が増殖し続けてしまいます。この仕組みを阻害するのにEGFRチロシンキナーゼという分子標的薬が存在します。ゲフィチニブ(商品名イレッサ)といった薬剤です。しかしながら、これらの薬剤を使用し続けると、EGFR遺伝子が更に変異(T790M変異)して薬剤耐性を持つようになり、効果が乏しくなります。そういった2次的な変異に対して効果があると期待されている薬剤がAZD9291です。また、この薬剤のもう1つの特徴として、変異型EGFRにしか作用しないため副作用が少ないと期待されていることも予想されるところも特徴です。主な参加条件等
この試験の対象となりうる方
- 20歳以上の方
- 局所進行(周辺の組織やリンパ節へ進行した)又は多臓器へ転移を有する非小細胞性肺がんの方
- EGFRとT790の変異が認めらた方
- 初回治療にてEGFR-TKI(ゲフィチニブ;商品名イレッサ、エルロチニブ;商品名タルセバ、または臨床試験で使用したEGFR‐TKIも可)の使用して効き目がなくなった方のうち、他の治療を行っていない方
- プラチナ製剤(カルボプラチン;商品名パラプタチン又はシスプラチン;商品名ランダ、ブリプラチン)とペメトレキセド(商品名:アリムタ)を併用使用が可能であると判断された方
この試験の対象とならない方
- 進行した非小細胞肺がんに対して、2種類以上の薬剤療法を行った方。
- EGFR T790M変異に効果があると期待されている第三世代EGFR‐TKI(CO-1686など)を使用された方
- 少なくとも、プラチナ製剤を用いた2剤併用療法の最終投与から2週間経過している方