腎盂・尿管がんの検査と診断


  • [公開日]2017.08.15
  • [最終更新日]2018.01.11

検査

腎盂・尿管がんの診断を行うための検査としては、次のようなものがあります。

経静脈性尿路造影(排泄性尿路造影)
経静脈性尿路造影は、レントゲンにうつる薬であるヨード造影剤を静脈注射し、腎盂から尿管、膀胱といった尿を排出する経路(尿路)を流れていくヨード造影剤のようすを、時間を追って撮影するという検査です。この検査は、腎盂・尿管の壁不整や陰影欠損、水腎水尿管症の有無を確認することが目的です。

逆行性腎盂尿管造影
逆行性腎盂尿管造影は、内視鏡を尿道から膀胱まで入れ,尿管口から尿道カテーテルを入れて造影するという方法です。経静脈性尿路造影と同様に、腎盂・尿管の壁不整や陰影欠損,水腎水尿管症の有無を確認することを目的として行われます。

内視鏡やカテーテルを挿入する際に痛みを伴うことが多いため、多くは麻酔をかけて行います。造影剤を静脈に注射する方法では、たとえば5分後、15分後、30分後などの、ある一定のタイミングで撮影して評価を行いますが、直接カテーテルを挿入して造影剤を流すことができるため、リアルタイムな所見をとることができます。また、造影剤アレルギーのある方でも、通常問題無く行うことができるというメリットもあります。

※順行性腎盂尿管造影検査というものもあります。腎臓に針を刺して、そこから検査を行うものですが、腎盂・尿管がんを広げてしまう可能性があるため、腎盂・尿管がんの検査としては通常行われません。

尿細胞診
腎盂・尿管がんが存在すると、病変部位からはがれ落ちたがん細胞が、尿から検出されることがあります。尿細胞診は、このように尿中に混ざったがん細胞がないかどうか顕微鏡で調べる検査です。尿細胞診の結果は5段階に分類され、クラスⅠ、Ⅱの陰性、クラスⅢa、Ⅲbは疑陽性、クラスⅣ、Ⅴは陽性となっています。特に、Ⅲb以上が出る場合は、がんの確率が特に高いと考えられます。(尿細胞診の評価方法について、近いうちに改定される見込みです)

CT
CTでは、がんの所在やがんの形態・浸潤の度合い、がんのステージ、リンパ節や遠隔への転移の有無などを評価することができます。特に、マルチスライスCTを使ったCT検査は、腎盂・尿管がんの診断を行う上で非常に重要な役割を果たしています。マルチスライスCTは尿路全体をスライスした画像を,1回の息止めで撮影することが可能です。また、CT urographyは経静脈性尿路造影で撮影されるような画像をCT検査のデータから再構築できるものです。

MRI
CT画像の所見が典型的でない場合などに、質的診断のためや、壁深達度を詳しく評価するために撮影することがあります。体内に金属が入っている場合や、閉所恐怖症がある場合は、通常撮影ができません。

尿管鏡検査
腎盂や尿管の内側を内視鏡を使って観察する検査です。尿道から内視鏡を挿入して膀胱や尿管口における不正粘膜,腫瘍の有無などを調べます。観察と同時に細胞を採取することもできるので、採取した細胞を観察し、組織診断を行うことができるのが最大のメリットです。最も診断精度が高い手法ですが、全身麻酔が必要です。(※下半身麻酔でもできないわけではありませんが、腎臓の高さまで麻酔が効かないことがあります)

診断

画像で上部尿路に腎盂・尿管がんではないかと疑われるような場所が存在した場合や、血尿がある場合、尿細胞診で異常がある場合に、尿管鏡検査、逆行性腎盂尿管造影検査などを行って、腎盂・尿管がんであると診断されます。

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