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筋層浸潤性膀胱がんの治療法

[公開日] 2018.06.25[最終更新日] 2018.06.25

筋層浸潤性膀胱がんの治療法

筋層浸潤性の膀胱がんは、初発膀胱がん全体の10%から20%である。治療の基本は膀胱全摘除術で、患者個別の状態に応じて術前、または術後の補助化学療法(周術期化学療法)を実施します。膀胱全摘除術にはリンパ節郭清術が伴い、さらに、尿路変向術で排尿経路の確保が必要となります。

転移性膀胱がんの治療法

リンパ節転移や遠隔転移のある膀胱がんは、初発膀胱がん全体の約10%です。がん細胞が全身に播種していることが想定されるため、膀胱全摘除術は推奨されず、化学療法や緩和療法で対処します。

筋層浸潤性膀胱がんの周術期化学療法

膀胱全摘除術の周術期化学療法には、術前または術後の補助化学療法があります。 術前補助化学療法は全摘除術単独の場合と比べ予後良好の可能性が高い。全摘除術前に早期の微小転移に対する効果が期待でき、一定の治療効果が実証されています。 また、術後の人工肛門や自己導尿など生活に重要な管理に慣れるための負担を鑑みれば、患者は術後よりも術前の方が治療を受け入れやすく、化学療法に対する反応性を術前に確認できることも利点である。一方、化学療法を実施している時間の分、根治的切除が遅れる可能性や、不必要な化学療法による過剰治療の可能性は否定できません。 術後補助化学療法は、全摘除術で採取した組織の病理診断に基づき化学療法を選択するため、過剰治療を避けることができる。直ちに根治的切除ができる一方で、微小転移に介入する治療が遅れる可能性がある。治療効果は実証されていません。 術前補助化学療法の主流は2剤併用のGC療法(ゲムシタビン+シスプラチン)で、4剤併用のMVAC療法(メトトレキサート+ビンブラスチン+アドリアマイシン+シスプラチン)も選択肢にある。術前のGC療法後、全摘標本の病理診断で腫瘍が残存していない場合は、術後にGC療法は追加せず、残存が確認された場合は術後GC療法の追加を推奨することがある。術前GC療法はMVAC療法に比べ消化器系副作用が少なく、シスプラチンを除いたゲムシタビンのみの治療でも効果が得られるとの報告もあります。 一方、シスプラチンを含む術前補助化学療法は生存率改善に寄与するとして強い科学的根拠をもって推奨されているが、シスプラチンは水腎症など腎機能が低下している場合は投与できません。 リンパ節転移、または遠隔転移のある転移性膀胱がん患者に対してもGC療法、またはMVAC療法が選択される。治療効果は同等と報告されているが、副作用の観点からGC療法が第1選択となっている。好中球減少性発熱と敗血症はMVAC療法の方が多く発現し、グレード3からグレード4の血小板減少はGC療法の方が多いという報告があります。 術前補助化学療法を推奨しない患者は、高齢者、重篤な合併症を有する、腫瘍の筋層浸潤が浅い、血尿や排尿時痛などの症状が強い、水腎症など腎機能障害を有する場合もあります。
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