この記事の3つのポイント
・HER2遺伝子変異陽性非小細胞肺がんを対象とした第2相試験
・HER2を標的とした抗体薬物複合体トラスツズマブ レゼテカンの有効性・安全性を検討
・臨床的に意義のある抗腫瘍効果および安全性を示す
2025年2月13日、医学誌『The Lancet Oncology』にて、HER2遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)に対するHER2を標的とした抗体薬物複合体(ADC)であるトラスツズマブ レゼテカン療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT04818333)の結果がShanghai Jiao Tong University School of MedicineのZiming Li氏らにより公表された。
本試験は、HER2遺伝子変異陽性NSCLC患者に対して、3週を1サイクルとしてトラスツズマブ レゼテカン4.8mg/kg単剤療法を投与し、主要評価項目として少なくとも1サイクルの治療を受けた患者における独立審査委員会(IRC)評価による客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として安全性等を検証した多施設単群試験である。
本試験に登録されたのは、ECOGパフォーマンスステータスが0–1、プラチナ製剤ベースの化学療法および抗PD-(L)1抗体治療後に病勢進行または不応の18~75歳の患者94人。男性が42人(45%)、女性が52人(55%)、漢民族が92人(98%)、その他の中国民族が2人(2%)であった。
本試験の追跡期間中央値8.7ヶ月時点における結果、主要評価項目であるORRは73%(95%信頼区間:63.3–82.0%)を示した。
頻度の高いグレード3–4の治療関連有害事象(TRAE)は、好中球数減少が40%(38人)、白血球数減少が27%(25人)、貧血が23%(22人)、血小板数減少が11%(10人)、リンパ球数減少が7%(7人)であった。重篤なTRAEは23%(22人)に発生し、主なものは、血小板数減少が6%(6人)、好中球数減少が6%(6人)、間質性肺疾患が5%(5人)、白血球数減少が4%(4人)、貧血が4%(4人)、嘔吐が3%(3人)、肺炎が3%(3人)、低ナトリウム血症が2%(2人)、発熱が1%(1人)、小腸閉塞が1%(1人)、悪心が1%(1人)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)が1%(1人)であり、治療関連の死亡は確認されなかった。
以上の結果よりZiming Li氏らは、「HER2遺伝子変異陽性NSCLCに対するトラスツズマブ レゼテカンは、臨床的意義のある抗腫瘍効果と安全性を示し、更なる検討を支持するものです」と結論付けた。
参照元:
Trastuzumab rezetecan, a HER2-directed antibody–drug conjugate, in patients with advanced HER2-mutant non-small-cell lung cancer (HORIZON-Lung): phase 2 results from a multicentre, single-arm study(The Lancet Oncology 2025 DOI: 10.1016/S1470-2045(25)00012-9)あなたは医師ですか。