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慢性骨髄性白血病の治療効果とQOLの向上に向けた共同プロジェクトCML-PATHを開始 ノバルティスと日本調剤ら

[公開日] 2025.09.01[最終更新日] 2025.08.29

ノバルティス ファーマ株式会社、日本調剤株式会社およびグループ会社である株式会社日本医薬総合研究所は8月28日、慢性骨髄性白血病(CML)の患者さんの治療効果および生活の質(QOL)向上を目的とした共同プロジェクト「患者サポートプログラム"CML-PATH"」の開始を発表した。 CMLは、分子標的薬の登場により生命予後が大幅に改善されてきた一方で、患者さんが治療中の困りごとを医療従事者に伝えきれず、治療効果が十分に得られなかったり、副作用等に悩みながら治療を続けている現状があり、アドヒアランスの低下の要因となっている。 「慢性骨髄性白血病患者・家族の会 いずみの会」が2021年に実施したアンケートでは、42%の患者さんが「服薬をやめたいと思ったことがある」と回答。理由としては「副作用」が61%と最多を占めた。またCML患者さんは、日常生活において様々な「我慢」を抱えており、47%の患者さんが副作用により仕事を休まざるを得なかった経験があり、78%の患者さんが既存治療によって身体的・精神的に疲れを感じていることが報告されている。このアンケート結果は、治療における患者さんのQOLへの影響は、深刻な課題であることを示唆している。 また、更なる治療効果を得るには、患者さんの高い服薬アドヒアランスが極めて重要であり、CML患者さんがQOLを保ちながら安心して治療を継続できる環境づくりが求められている。 このような背景の中、今回のプロジェクトは、高い専門性を持つ日本調剤の薬剤師がCMLに関する理解を深め、CML患者さんが抱える「我慢」をより的確に把握し、血液内科医に共有する体制の構築を目指している。日本医薬総合研究所は、服薬フォローアップの有用性を分析し、その結果をもとに3社が関係者の声を聴きながらCMLの治療の質の向上と、患者さんが長期にわたり治療と向き合える環境を共創していくという。 今回の取り組みによって期待される成果としては、①CML患者さんについては、日常の治療に伴う「我慢」を相談できることで、治療に対する不安が解消し、QOLが向上し、服薬アドヒアランスが改善すること、②薬局薬剤師については、疾患・薬剤に関する知識が深まり、より質の高い服薬指導・フォローアップが可能になること、➂血液内科医は、薬剤師からの情報提供により患者さんの声を事前に把握できることで診察時間を有効活用できること、また副作用評価やアドヒアランス確認の一部を薬剤師に委ねることで業務負担が軽減されることなどが挙げられる。 同プロジェクトの開始時期は2025年9月、日本調剤が選定した20店舗を対象に実施予定である。また、実施結果については、来年以降の関連学会にて発表を目指している。 参照元: ノバルティス ファーマ株式会社 ニュース
ニュース 白血病 CML慢性骨髄性白血病

浅野理沙

東京大学薬学部→東京大学大学院薬学系研究科(修士)→京都大学大学院医学研究科(博士)→ポスドクを経て、製薬企業のメディカルに転職。2022年7月からオンコロに参加。医科学博士。オンコロジーをメインに、取材・コンテンツ作成を担当。

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