この記事の3つのポイント
・新たに診断された高腫瘍量の濾胞性リンパ腫を対象とした第2相MITHIC-FL1試験
・CD20/CD3に対する二重特異性抗体モスネツズマブの有効性・安全性を検討
・モスネツズマブ単剤療法、高い安全性と奏効率を達成
2024年12月7日-10日に米国・サンディエゴ州で開催された米国血液学会(ASH 2024)にて、新規に診断された高腫瘍量の濾胞性リンパ腫(FL)に対するCD20/CD3に対するT細胞誘導二重特異性抗体モスネツズマブ単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のMithic-FL1試験の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのLorenzo Falchi氏らにより公表された。
Mithic-FL1試験は、新規診断された高腫瘍量濾胞性リンパ腫(FL)患者に対して21日を1サイクルとしてモスネツズマブ単剤療法(1サイクル目は1日目に5mg、8日目と15日目に45mg、2サイクル目以降は1日目に45mg)を投与し、完全奏効(CR)が確認されれば8サイクル目まで、部分奏効(PR)が確認されれば17サイクルまで投与し、評価項目として有害事象(AE)発症率、客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)等を検証した試験である。
本試験に登録された78人の患者背景は、年齢中央値が59歳(26-83歳)、白人が77%、アジア人が13%、ヒスパニック系が4%、黒人が3%、腫瘍量の大きい病変を有する患者の割合が36%であった。
本試験の結果、20%以上の患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)は、インフュージョンリアクションが69%、サイトカイン放出症候群(CRS)が54%、感染症が54%、皮膚障害が47%、筋骨格痛が38%、皮膚乾燥が37%、倦怠感が35%であった。グレード3以上のAEは、好中球減少症が18%、発熱性好中球減少症(FN)が4%を示した。CRSが確認された患者の重症度はグレード1が95%、グレード2が5%であり、93%の患者で1サイクル目に発現が確認された。
一方の有効性は、評価可能であった76人の患者におけるORRは95%(95%信頼区間:87%-99%)を示した。80%(95%信頼区間:70%-89%)の患者がCRを達成し、その大部分(89%)は最初の評価(4サイクル)の時点で確認された。
追跡期間中央値10.6ヶ月時点におけるPFSの中央値は未到達、12ヶ月PFS率は88%(95%信頼区間:79%-98%)、12ヶ月OS率は99%(95%信頼区間:96%-100%)を示した。
以上のMithic-FL1試験の結果よりLorenzo Falchi氏らは、「新規診断された高腫瘍量FLに対するモスネツズマブ単剤療法は、化学免疫療法と同等のCR率を達成し、新たな安全性の懸念もありませんでした」と結論付けた。
参照元:
Single-Agent Mosunetuzumab Produces High Complete Response Rates in Patients with Newly Diagnosed Follicular Lymphoma: Primary Analysis of the Mithic-FL1 Trial(ASH 2024)あなたは医師ですか。