この記事の3つのポイント
・再発または転移性子宮頸がんを対象とした第3相のinnovaTV301試験
・2次/3次療法としてのチソツマブ ベドチンの有効性・安全性を検討
・チソツマブ ベドチンは化学療法と比較して高い有効性を示す
2024年7月3日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて、再発⼜は転移を有する⼦宮頸がんに対する2次/3次療法としてのチソツマブ ベドチンと治験責任医師が選択した化学療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のinnovaTV301試験(NCT04697628)の結果がIgnace Vergote氏らにより公表された。
innovaTV301試験は、再発⼜は転移を有する⼦宮頸がん患者に対して、2次/3次療法としてチソツマブ ベドチンを投与する群(N=253人)、もしくは治験責任医師が選択した化学療法(トポテカン、ビノレルビン、ゲムシタビン、イリノテカンまたはペメトレキセド)を投与する群(N=249人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率(ORR)等を比較検証したグローバル無作為化⾮盲検の第3相試験である。
主要評価項目であるOSの中央値は、チソツマブ ベドチン投与群の11.5ヶ月(95%信頼区間:9.8-14.9ヶ月)に対して化学療法投与群で9.5ヶ月(95%信頼区間:7.9-10.7ヶ月)と、チソツマブ ベドチン投与群で死亡のリスクを30%改善した(HR:0.70,95%信頼区間:0.54-0.89,P=0.004)。
副次評価項目であるPFSの中央値は、チソツマブ ベドチン投与群で4.2ヶ月(95%信頼区間:4.0-4.4ヶ月)に対して化学療法投与群で2.9ヶ月(95%信頼区間:2.6-3.1ヶ月)、チソツマブ ベドチン投与群で病勢進行または死亡のリスクを33%改善した(HR:0.67,95%信頼区間:0.54-0.82,P<0.001)。
ORRはチソツマブ ベドチン投与群の17.8%に対して化学療法投与群で5.2%と、チソツマブ ベドチン投与群でより高い奏効率が認められた(OR:4.0,95%信頼区間:2.1-7.6,P<0.001)。
一方の安全性として、全グレードの有害事象(AE)発現率はチソツマブ ベドチン投与群の98.4%に対して化学療法投与群で99.2%、グレード3以上のAE発現率はチソツマブ ベドチン投与群の52.0%に対して化学療法投与群で62.3%を示した。なお、チソツマブ ベドチン投与群におけるAEによる治療中止率は14.8%を示した。
以上の結果よりIgnace Vergote氏らは「再発⼜は転移を有する⼦宮頸がんに対して二次/三次療法としてのチソツマブ ベドチンは、治験責任医師が選択した化学療法に比べて有意に高い有効性が認められました」と結論付けた。
参照元:・2次/3次療法としてのチソツマブ ベドチンの有効性・安全性を検討
・チソツマブ ベドチンは化学療法と比較して高い有効性を示す
Tisotumab Vedotin as Second- or Third-Line Therapy for Recurrent Cervical Cancer(N Engl J Med 2024. doi:10.1056/NEJMoa2313811)