この記事の3つのポイント
・治療歴のある転移性大腸がんが対象の第1相試験
・筋萎縮性側索硬化症治療薬リルゾール+アバスチン+mFOLFOX6併用療法の有効性・安全性を検証
・FOLXOX抵抗性症例を含め、転移性大腸がんに対する有望な安全性・有効性を示す
2024年01月18~24日、米国・サンフランシスコにて開催された2024 ASCO Gastrointestinal Cancers Symposiumにて、治療歴のある転移性大腸がんに対するリルゾール+ベバシズマブ(製品名:アバスチン)+mFOLFOX6併用療法の有効性、安全性を検証した第1相試験(NCT04761614)の結果がThe Ohio State University Wexner Medical CenterのChunjie Li氏らにより公表された。筋萎縮性側索硬化症の経口薬であるリルゾールは、腫瘍内の免疫細胞を増加させ、腫瘍増殖を抑制することがマウスモデルで示されている。
本試験は、治療歴のある転移性大腸がんに対して、1日2回リルゾール50mg(最大1日2回100mgまで漸増、または1日1回50mgまで漸増)+アバスチン+mFOLFOX6併用療法を実施し、主要評価項目として有害事象(AE)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、病勢コントロール率(DCR)、奏効持続期間(DOR)を検証した単群の試験である。
本試験には14例が登録され、12例が評価可能であった。全例が過去にFOLFOX療法を受けており、2例は2ライン、1例は3ライン、8例は試験前に4ライン以上の化学療法を受けていた。5例(41.7%)がFOLFOXに対して抵抗性を示した。
本試験の結果、最も多くの患者で確認されたグレード3もしくは4の有害事象(AE)は 好中球減少症46.2%、リンパ球減少症30.8%、腹痛15.4%であった。リルゾールの最大耐用量(MTD)は1日2回100mgで決定された。
ORRは16.7%であり、奏効の内訳は完全奏効(CR)0人、部分奏効(PR)2人、病勢安定(SD)9人、病勢進行(PD)1人であった。DCRは91.7%、DORの中央値は5.1ヶ月(95%信頼区間:3.2-7.0ヶ月)であった。
以上の結果よりChunjie Li氏らは「治療歴のある転移性大腸がんに対するリルゾール+アバスチン+mFOLFOX6併用療法は、忍容性が良好であり、FOLFOX療法へ抵抗性を示した患者においても臨床的抗腫瘍効果がある可能性が示唆されました」と結論付けた。
参照元:A phase I clinical trial of riluzole in combination with mFOLFOX6 and bevacizumab in treating patients with metastatic colorectal cancer.(ASCO GI 2024)