未治療の進行胸膜中皮腫に対するペメトレキセド+シスプラチン/カルボプラチンへのキイトルーダの上乗せ、全生存期間を有意に改善The Lancetより


  • [公開日]2023.11.30
  • [最終更新日]2023.11.29
この記事の3つのポイント
・未治療の進行胸膜中皮腫が対象の第3相試験
ペメトレキセドシスプラチン/カルボプラチンに対するキイトルーダ上乗せの有効性安全性を検証
・キイトルーダ上乗せにより全生存期間を有意に改善

2023年11月03日、医学誌『The Lancet』にて、未治療の進行胸膜中皮腫に対するペメトレキセド+シスプラチン/カルボプラチン+抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相試験(NCT02784171)の結果がCross Cancer InstituteのQuincy Chu氏らにより公表された。

本試験は、未治療の進行胸膜中皮腫(N=440人)に対して、3週を1サイクルとしてペメトレキセド500mg/m2+シスプラチン75mg/m2もしくはカルボプラチンAUC 5-6mg/mL併用療法を最大6サイクル実施する群(化学療法単独群, N=218人)、もしくは化学療法に上乗せして3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mgを最大2年間実施する群(キイトルーダ併用群, N=222人)に無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)を比較検証した国際多施設共同オープンラベルの第3相試験である。

本試験のフォローアップ期間中央値16.2ヶ月時点における結果、主要評価項目であるOSの中央値は、キイトルーダ併用群の17.3ヶ月(95%信頼区間:14.4-21.3ヶ月)に対して化学療法単独群で16.1ヶ月(95%信頼区間:13.1-18.2ヶ月)と、キイトルーダ併用群で死亡のリスクを21%(HR:0.79,95%信頼区間:0.64-0.98,P=0.0324)改善した。

3年全生存率はキイトルーダ併用群の25%(95%信頼区間:20%-33%)に対して化学療法単独群で17%(95%信頼区間:13%-24%)を示した。

グレード3もしくは4の有害事象(AE)発症率は、キイトルーダ併用群の27%(60/222人)に対して化学療法単独群で15%(32/211人)を示した。グレード5の有害事象(AE)はキイトルーダ併用群で2人、化学療法単独群で1人確認された。

以上の第3相試験の結果よりQuincy Chu氏らは、「進行胸膜中皮腫において、標準的なプラチナ製剤+ペメトレキセド化学療法にキイトルーダを追加することは、全生存期間の有意な改善をもたらす安全な治療法であり、新たな治療選択肢となり得る」と結論付けている。

参照元:
Pembrolizumab plus chemotherapy versus chemotherapy in untreated advanced pleural mesothelioma in Canada, Italy, and France: a phase 3, open-label, randomised controlled trial(The Lancet 2023. DOI:10.1016/S0140-6736(23)01613-6 )

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