この記事の3つのポイント
・完全切除後のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんを対象とした第3相試験
・術後にオシメルチニブ最大3年間服用することによる有効性と安全性を検証
・プラセボ群と比較して、オシメルチニブ群により無増悪生存期間および全生存期間が有意に改善
2023年6月8日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて完全切除後のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者に対する術後療法としての第3世代EGFR阻害薬であるオシメルチニブ(商品名タグリッソ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相ADAURA試験(NCT02511106)の全生存期間(OS)の最終解析結果が、国立がん研究センター東病院の坪井正博氏らにより公表された。
ADAURA試験は、完全切除後のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん患者に対する術後療法として、術後化学療法実施の有無にかかわらず、1日1回オシメルチニブ80mg単剤を病勢進行するまで最大3年間投与する群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、有効性・安全性を比較検証した無作為化二重盲検国際共同第3相試験。主要評価項目として無病生存期間(DFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、安全性などが設定されている。
これまでに、同試験のDFSの結果が報告されており、術後のオシメルチニブの有効性が示唆されてきたが、OSのデータが発表されたのは今回が初めてである。
無作為化を受けた682人の患者のうち、339人にオシメルチニブ、343人にプラセボが投与された。II/III期の症例における5年全生存率はオシメルチニブ単剤群の85%に対してプラセボ群で73%と、オシメルチニブ群で死亡リスクが51%減少(HR:0.49,95%信頼区間:0.33-0.73,P<0.001)した。また、全患者群における5年全生存率は、オシメルチニブ群の88%に対してプラセボ群で78%と、オシメルチニブ群で死亡のリスクを51%減少(HR:0.49,95%信頼区間:0.34-0.70,P<0.001)した。
以上のADAURA試験の最終解析の結果より、坪井氏らは「完全切除後のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がんに対する術後療法としての第3世代不可逆的EGFR阻害薬タグリッソ単剤療法は、プラセボ療法に比べて全生存期間を統計学有意に改善しました」と結論を述べている。
Overall Survival with Osimertinib in Resected EGFR-Mutated NSCLC(N Engl J Med 2023; DOI: 10.1056/NEJMoa2304594)
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