9月26日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて根治切除後のステージIIIB/C/DまたはステージIV悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する術後療法としての抗PD-L1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)+抗CTLA-4抗体薬であるヤーボイ(一般名:イピリムマブ、以下ヤーボイ)併用療法の有効性、安全性をオプジーボ単剤療法と比較検証した第3相のCheckMate-915試験(NCT03068455)の結果がLaura and Isaac Perlmutter Cancer CenterのJeffrey S. Weber氏らにより公表された。
CheckMate-915試験とは、根治切除後のステージⅢB/C/DまたはステージⅣ悪性黒色腫(メラノーマ)患者(N=1833人)に対する術後療法として、2週を1サイクルとしてオプジーボ240mg+6週を1サイクルとしてヤーボイ1mg/kg併用療法を最大1年間実施する群(N=916人)、もしくは4週を1サイクルとしてオプジーボ480mg単剤療法を最大1年間実施する群(N=917人)に無作為に振り分け、主要評価項目として再発生存期間(RFS)を比較検証した無作為化二重盲検第3相の臨床試験である。
本試験が開始された背景として、抗PD-L1抗体薬オプジーボと抗CTLA-4抗体薬ヤーボイはハイリスクのある切除後悪性黒色腫(メラノーマ)に対してそれぞれ臨床的ベネフィットを示している。以上の背景より、根治切除後のステージIIIB/C/DまたはステージⅣ悪性黒色腫(メラノーマ)に対する術後療法としての抗PD-L1抗体薬オプジーボ+抗CTLA-4抗体薬ヤーボイ併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間最低値23.7ヶ月時点における結果、全患者群における再発生存期間(RFS)は両群間で統計学的有意な差は確認されなかった(HR:0.92、95%信頼区間:0.77-1.09、P=0.269)。また、PD-L1発現率1%未満の患者群における再発生存期間(RFS)の差は両群間で確認されなかった(HR:0.91、95%信頼区間:0.73-1.14)。また、24ヶ月無再発生存率(RFS)はオプジーボ+ヤーボイ併用群の64.6%に対してオプジーボ単剤群で63.2%であった。
一方、安全性としてグレード3もしくは4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はオプジーボ+ヤーボイ併用群の32.6%に対してオプジーボ単剤群で12.8%であった。治療関連有害事象(TRAE)による死亡率はオプジーボ+ヤーボイ併用群の0.4%に対してオプジーボ単剤群で0%であった。
以上のCheckMate-915試験の結果よりJeffrey S. Weber氏らは「根治切除後のステージIIIB/C/DまたはステージIV悪性黒色腫(メラノーマ)に対する術後療法としての抗PD-L1抗体薬オプジーボ+抗CTLA-4抗体薬ヤーボイ併用療法は、オプジーボ単剤療法に比べて再発生存期間(RFS)を統計学的有意に改善しませんでした。オプジーボ単剤療法が悪性黒色腫(メラノーマ)の標準治療薬であることが確認されました」と結論を述べている。
Adjuvant Therapy of Nivolumab Combined With Ipilimumab Versus Nivolumab Alone in Patients With Resected Stage IIIB-D or Stage IV Melanoma (CheckMate 915)(J Clin Oncol. 2022 Sep 26;JCO2200533. doi: 10.1200/JCO.22.00533.)