9月9日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にてプラチナ系抗がん剤ベースの化学療法に奏効を示したBRCA1/2遺伝子変異陽性卵巣がん患者に対する維持療法としてのPARP阻害薬であるリムパーザ(一般名:オラパリブ、以下リムパーザ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のSOLO1/GOG 3004試験(NCT01844986)の7年長期フォローアップの結果がWomen&Infants HospitalのPaul DiSilvestro氏らにより公表された。
SOLO1/GOG 3004試験とは、プラチナ系抗がん剤ベースの化学療法に奏効を示したBRCA1/2遺伝子変異陽性卵巣がん患者に対する維持療法としてリムパーザ単剤を最大2年間投与する群(N=260人)、もしくはプラセボ単剤を投与する群(N=131人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)を比較検証した二重盲検下ランダム化の第3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値はリムパーザ群で88.9ヶ月、プラセボ群で87.4ヶ月、治療期間中央値はリムパーザ群で24.6ヶ月、プラセボ群で13.9ヶ月であった。同時点において、プラセボ群に比べてリムパーザ群で死亡(OS)のリスクを45%(95%信頼区間:0.40-0.76、P=0.0004)減少した。7年時点における生存率はリムパーザ群の67.0%に対してプラセボ群で46.5%であった。
以上のSOLO1/GOG 3004試験の7年長期フォローアップの結果よりPaul DiSilvestro氏らは「プラチナ系抗がん剤ベースの化学療法に奏効を示したBRCA1/2遺伝子変異陽性卵巣がんに対する維持療法としてのPARP阻害薬リムパーザ単剤療法は、プラセボ単剤療法に比べて臨床的意義のある全生存期間(OS)の改善を示しました。このことは、長期寛解を得るためのオラパリブ維持療法の使用を支持するものでしょう」と結論を述べている。
Overall Survival With Maintenance Olaparib at a 7-Year Follow-Up in Patients With Newly Diagnosed Advanced Ovarian Cancer and a BRCA Mutation: The SOLO1/GOG 3004 Trial(J Clin Oncol. 2022 Sep 9;JCO2201549. doi: 10.1200/JCO.22.01549.)