進行性胆道がんに対する一次治療としてのイミフィンジ+ゲムシタビン+シスプラチン併用療法、全生存期間と無増悪生存期間を改善Journal of Clinical Oncologyより


  • [公開日]2022.02.10
  • [最終更新日]2022.02.09
この記事の3つのポイント
・切除不能/局所進行性/転移性胆道がん患者が対象の第3相試験
一次治療としてのイミフィンジ+ゲムシタビン+シスプラチン併用療法の有効性安全性プラセボと比較検証
・イミフィンジ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群における全生存期間は12.8ヶ月、無増悪生存期間中央値は7.2ヶ月であり、
 ゲムシタビン+シスプラチン併用に対していずれも有意に延長を示した

2022年1月19日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて肝内胆管がん、肝外胆管がんおよび胆嚢がん(乳頭部がんを除く)などの切除不能/局所進行性/転移性胆道がん(BTC)患者を対象にファーストライン治療として抗PD-L1抗体薬であるイミフィンジ(一般名:デュルバルマブ、以下イミフィンジ)+ゲムシタビン+シスプラチン併用療法の有効性、安全性を検証した第3相のTOPAZ-1試験の結果がSeoul National University HospitalのDo-Youn Oh氏らにより公表された。

TOPAZ-1試験は、肝内胆管がん、肝外胆管がんおよび胆嚢がん(乳頭部がんを除く)などの切除不能/局所進行性/転移性胆道がん(BTC)患者(N=685人)に対するファーストライン治療として3週を1サイクルとしてイミフィンジ1500mg+1日目と8日目にゲムシタビン1000mg/m2+シスプラチン25mg/m2併用療法を実施する群(N=341人)、もしくは3週を1サイクルとしてプラセボ+1日目と8日目にゲムシタビン1000mg/m2+シスプラチン25mg/m2併用療法を実施する群(N=344人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、客観的奏効率ORR)、安全性などを比較検証した無作為化二重盲検プラセボ対照国際多施設共同の第3相試験である。

本試験が開始された背景として、胆道がん(BTC)の予後は不良である、免疫チェックポイント阻害薬単剤療法による抗腫瘍効果は限られる可能性が示唆されている。第2相試験にて、進行性胆道がん(BTC)に対するイミフィンジ+ゲムシタビン+シスプラチン併用療法は良好な抗腫瘍効果を示している。以上の背景より、切除不能/局所進行性/転移性胆道がん(BTC)患者に対するファーストライン治療としての抗PD-L1抗体薬イミフィンジ+ゲムシタビン+シスプラチン併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験に登録された患者の年齢中央値は、イミフィンジ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群64歳(20~84歳)に対してプラセボ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群で64歳(31~85歳)。それぞれの群における性別は女性が50.4%に対して48.8%。ECOG PSスコアは0が50.7%に対して47.4%。以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。

主要評価項目である全生存期間(OS)中央値は、イミフィンジ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群の12.8ヶ月(95%信頼区間:11.1–14.0ヶ月)に対してプラセボ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群で11.5ヶ月(95%信頼区間:10.1–12.5ヶ月)と、イミフィンジ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群で死亡(OS)のリスクを20%減少(HR:0.80、95%信頼区間:0.66–0.97、P=0.021)し、主要評価項目を達成した。

また、18ヶ月全生存率(OS)、24ヶ月全生存率(OS)は、イミフィンジ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群で35.1%(95%信頼区間:29.1–41.2%)と24.9%(95%信頼区間:17.9–32.5%)に対してプラセボ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群で25.6%(95%信頼区間:19.9–31.7%)と10.4%(95%信頼区間:4.7–18.8%)をそれぞれ示した。

副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は、イミフィンジ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群の7.2ヶ月(95%信頼区間:6.7–7.4ヶ月)に対してプラセボ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群で5.7ヶ月(95%信頼区間:5.6–6.7ヶ月)と、イミフィンジ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを25%減少(HR:0.75、95%信頼区間:0.64–0.89、P=0.001)した。

客観的奏効率(ORR)は、イミフィンジ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群の26.7%に対してプラセボ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群で18.7%を示した。

一方の安全性として、グレード3もしくは4の治療関連有害事象(TRAE)発症率は、イミフィンジ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群の62.7%に対してプラセボ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群で64.9%を示した。治療関連有害事象(TRAE)による治療中止率はそれぞれ8.9%、11.4%を示した。

以上の第3相のTOPAZ-1試験の結果よりDo-Youn Oh氏らは「切除不能/局所進行性/転移性胆道がん(BTC)患者に対するファーストライン治療としての抗PD-L1抗体薬イミフィンジ+ゲムシタビン+シスプラチン併用療法は、プラセボ+ゲムシタビン+シスプラチン併用群に比べて全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善しました。また、有害事象(AE)も管理可能な内容であり、本治療は新しい標準治療選択肢になり得る可能性が示唆されました」と結論を述べている。

A phase 3 randomized, double-blind, placebo-controlled study of durvalumab in combination with gemcitabine plus cisplatin (GemCis) in patients (pts) with advanced biliary tract cancer (BTC): TOPAZ-1. (2022 ASCO Gastrointestinal Cancers Symposium Meeting Abstract#378)

×

この記事に利益相反はありません。

会員登録 ログイン