患者申出療養制度に基づくパネル検査後の適応外医薬品 臨床研究への医薬品無償提供協力の契約を締結-国立がん研究センター・中外製薬-


  • [公開日]2020.02.07
  • [最終更新日]2020.02.07

国立研究開発法人 国立がん研究センターは、がん遺伝子パネル検査後に患者申出療養制度のもと既承認薬を適応外使用し、その治療効果を検討する臨床研究を2019年10月より実施している。同研究に使用される薬剤の無償提供の協力について、同センターは中外製薬株式会社との契約を2020年2月7日付けで締結したことを発表した。

臨床研究「NCCH1901」の概要

がん遺伝子パネル検査の結果、治療候補となり得る遺伝子異常が見つかったものの既承認薬による治療や治験先進医療等の選択肢がない場合、適応外薬の使用を検討する場合があるが、医療費が全額自己負担となる可能性が高く、患者にとって大きな負担となる。

このため、使用する医薬品は、研究趣旨に賛同した企業より無償提供されたものを対象としている。今回、中外製薬と契約を締結したことにより、同研究に参加する患者ができる医薬品がさらに拡大することになる。

臨床研究実施計画・研究概要公開システム

遺伝子パネル検査による遺伝子プロファイリングに基づく複数の分子標的治療に関する患者申出療養(NCCH1901)/臨床研究実施計画番号jRCTs031190104

患者さんからのお問い合わせ先

国立がん研究センター 中央病院
相談支援センター
電話番号:03-3547-5293(平日10時から16時まで)

参照元:
国立がん研究センタープレスリリース

薬剤の無償提供協力、契約締結は2社目

今回の契約締結に先立ち、国立がん研究センターは2019年10月にノバルティス ファーマ株式会社と同様の契約を締結している。その際、同センターが発表したプレスリリースでは、「今後さらに多くの企業の協力が得られるようお願いしてまいります」としていた。今回、中外製薬と契約を締結したことで、薬剤の無償提供の協力は2社となった。

関連リンク:
がん遺伝子パネル検査後の新たな治療選択肢 適応外使用を患者申出療養制度のもと多施設共同研究として実施(国立がん研究センター 2019年10月2日プレスリリース)

患者申出療養制度とは

日本は、国民皆保険の理念の下、必要かつ適切な医療は基本的に保険収載している。その上で、保険収載されていないが、将来的な保険収載を目指す先進的な医療などについては、「保険外併用療養費制度」のひとつとして、安全性有効性等を確認するなど一定のルールにより、保険診療と併用することが認められている。

「患者申出療養制度」は、困難な病気と闘う患者の思いに応えるため、先進的な医療を患者の申出を起点として、医療機関で迅速に受けられるようにするもの。いわゆる「混合診療」を無制限に解禁するものではなく、国民皆保険の堅持を前提とするものである。

関連リンク:
厚生労働省 患者申出療養制度

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