再発転移性頭頸部扁平上皮がん患者に対するイミフィンジ±トレメリムマブ、標準化学療法に比べて全生存期間を有意に改善せずAnnals of Oncologyより


  • [公開日]2020.05.08
  • [最終更新日]2020.05.08
この記事の3つのポイント
・白金製剤を用いた化学療法後に病勢進行した再発転移性頭頸部扁平上皮がん患者が対象の第3相試験
・抗PD-L1抗体薬イミフィンジ±抗CTLA-4抗体トレメリムマブ有効性安全性を比較検証
全生存期間を有意に改善しなかったが、12ヶ月全生存率はイミフィンジ単剤群で高率だった

2020年4月12日、医学誌『Annals of Oncology』にて白金製剤を用いた化学療法後に病勢進行した再発転移性頭頸部扁平上皮がん患者に対する抗PD-L1抗体薬であるデュルバルマブ(商品名イミフィンジ;以下イミフィンジ)±抗CTLA-4抗体であるトレメリムマブの有効性、安全性を比較検証した第3相のEAGLE試験の結果がUPMC Hillman Cancer CenterのR.L. Ferris氏らにより公表された。

EAGLE試験とは、白金製剤を用いた化学療法後に病勢進行した再発転移性頭頸部扁平上皮がん患者に対して2週を1サイクルとしてイミフィンジ10mg/kg単剤療法を投与する群(N=240人)、4週を1サイクルとしてイミフィンジ20mg/kg+トレメリムマブ1mg/k併用療法を最大4サイクル投与し、その後2週を1サイクルとしてイミフィンジ10mg/kg単剤療法を投与する群(N=247人)、または標準化学療法を投与する群(N=249人)に1対1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間PFS)、客観的奏効率ORR)などを比較検証した多施設共同無作為化非盲検国際第3相試験である。

本試験が開始された背景として、抗PD-1/PD-L1抗体薬である免疫チェックポイント阻害薬は複数の固形がんに対して臨床的意義のある抗腫瘍効果を示すことが確認されている。また、抗PD-1/PD-L1抗体薬に抗CTLA-4抗体を加えることで抗腫瘍効果が高まる可能性も複数の臨床試験で確認されている。以上の背景より、再発転移性頭頸部扁平上皮がんに対するイミフィンジ±トレメリムマブ療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値は標準化学療法に比べてイミフィンジ単剤療法で統計学有意な差は確認されなかった(HR:0.88,95%信頼区間:0.72–1.08,P=0.20)。また、標準化学療法に比べてイミフィンジ+トレメリムマブ併用療法で統計学有意な差は確認されなかった(HR:1.04,95%信頼区間:0.85–1.26,P=0.76)。

12ヶ月全生存率(OS)はイミフィンジ単剤群37.0%(95%信頼区間:30.9%‐43.1%)、イミフィンジ+トレメリムマブ併用群30.4%(95%信頼区間:24.7%‐36.3%)、標準化学療法群30.5%(95%信頼区間:24.7%‐36.4%)を示した。

一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はイミフィンジ単剤群10.1%、イミフィンジ+トレメリムマブ併用群16.3%、標準化学療法群24.2%を示した。イミフィンジ群で最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は甲状腺機能低下症で、イミフィンジ単剤群11.4%、イミフィンジ+トレメリムマブ併用群12.2%を示した。

以上のEAGLE試験の結果よりR.L. Ferris氏らは以下のように結論を述べている。”白金製剤を用いた化学療法後に病勢進行した再発転移性頭頸部扁平上皮がん患者に対する抗PD-L1抗体薬イミフィンジ±抗CTLA-4抗体トレメリムマブは、標準化学療法に比べて全生存期間(OS)を統計学有意に改善しませんでした。しかしながら、12ヶ月全生存率(OS)はイミフィンジ単剤群で高率でした。”

Durvalumab with or without tremelimumab in patients with recurrent or metastatic head and neck squamous cell carcinoma: EAGLE, a randomized, open-label phase III study(Ann Oncol. 2020 Apr 12. pii: S0923-7534(20)36434-6. doi: 10.1016/j.annonc.2020.04.001.)

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