強力な治療に適応のない未治療の急性骨髄性白血病患者に対する経口BCL-2阻害薬ベネクレクスタ+低用量シタラビン療法、全寛解率・全生存期間ともに改善bloodより


  • [公開日]2020.04.10
  • [最終更新日]2020.04.06
この記事の3つのポイント
・強力な治療に適応のない未治療の急性骨髄性白血病患者が対象の第3相試験
・経口BCL-2阻害薬ベネトクラクス+低用量シタラビン療法の有効性安全性を比較検証
・ベネクレクスタ群で死亡リスクを25%減少、フォローアップ期間を6ヶ月追加した死亡リスクは30%減少

2020年3月27日、医学誌『blood』にて強力な治療に適応のない未治療の急性骨髄性白血病(AML)患者に対する経口BCL-2阻害薬であるベネトクラクス(商品名:ベネクレクスタ;以下ベネクレクスタ)+低用量シタラビン療法の有効性、安全性を比較検証した第3相試験の結果がAlfred hospitalのAndrew Henry Wei氏らにより公表された。

本試験は、強力な治療に適応のない未治療の急性骨髄性白血病(AML)患者に対してベネクレクスタ+低用量シタラビン療法を投与する群(N=211人)、プラセボ+低用量シタラビン療法を投与する群(N=68人)に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間OS)、副次評価項目として客観的奏効率ORR)、無イベント生存期間(EFS)などを比較検証した国際多施設共同ランダム化の第3相試験である。

本試験の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はベネクレクスタ群7.2ヶ月に対してプラセボ群4.1ヶ月、ベネクレクスタ群で死亡(OS)のリスクを25%(HR:0.75,95%信頼区間:0.52-1.07,P=0.11)減少するも統計学有意な差は確認されなかった。なお、予定フォローアップ期間より6ヶ月追加した全生存期間(OS)中央値はベネクレクスタ群8.4ヶ月を示し、ベネクレクスタ群で死亡(OS)のリスクを30%(HR:0.70,95%信頼区間:0.50-0.98,P=0.04)減少した。副次評価項目である全寛解率(CR:完全寛解+CRi:血液の回復は不十分だが骨髄では完全寛解)はベネクレクスタ群48%に対してプラセボ群13%を示した。

一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率はそれぞれ下記の通りである。発熱好中球減少症はベネクレクスタ群32%に対してプラセボ群29%、好中球減少症はベネクレクスタ群47%に対して16%、血小板減少症はベネクレクスタ群45%に対してプラセボ群37%を示した。

以上の第3相試験の結果よりAndrew Henry Wei氏らは以下のように結論を述べている。”強力な治療に適応のない未治療の急性骨髄性白血病(AML)患者に対するベネクレクスタ+低用量シタラビン療法は、プラセボ群に比べて全寛解率(CR)、全生存期間(OS)ともに改善しました。また、忍容性も大きな差は確認されませんでしたので、本患者の治療選択肢になり得るでしょう。”

Venetoclax plus LDAC for patients with untreated AML ineligible for intensive chemotherapy: phase 3 randomized placebo-controlled trial(Blood. 2020 Mar 27. pii: blood.2020004856. doi: 10.1182/blood.2020004856. )

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