・経口BCL-2阻害薬ベネトクラクス+低用量シタラビン療法の有効性・安全性を比較検証
・ベネクレクスタ群で死亡リスクを25%減少、フォローアップ期間を6ヶ月追加した死亡リスクは30%減少
2020年3月27日、医学誌『blood』にて強力な治療に適応のない未治療の急性骨髄性白血病(AML)患者に対する経口BCL-2阻害薬であるベネトクラクス(商品名:ベネクレクスタ;以下ベネクレクスタ)+低用量シタラビン療法の有効性、安全性を比較検証した第3相試験の結果がAlfred hospitalのAndrew Henry Wei氏らにより公表された。
本試験は、強力な治療に適応のない未治療の急性骨髄性白血病(AML)患者に対してベネクレクスタ+低用量シタラビン療法を投与する群(N=211人)、プラセボ+低用量シタラビン療法を投与する群(N=68人)に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、無イベント生存期間(EFS)などを比較検証した国際多施設共同ランダム化の第3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はベネクレクスタ群7.2ヶ月に対してプラセボ群4.1ヶ月、ベネクレクスタ群で死亡(OS)のリスクを25%(HR:0.75,95%信頼区間:0.52-1.07,P=0.11)減少するも統計学有意な差は確認されなかった。なお、予定フォローアップ期間より6ヶ月追加した全生存期間(OS)中央値はベネクレクスタ群8.4ヶ月を示し、ベネクレクスタ群で死亡(OS)のリスクを30%(HR:0.70,95%信頼区間:0.50-0.98,P=0.04)減少した。副次評価項目である全寛解率(CR:完全寛解+CRi:血液の回復は不十分だが骨髄では完全寛解)はベネクレクスタ群48%に対してプラセボ群13%を示した。
一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率はそれぞれ下記の通りである。発熱好中球減少症はベネクレクスタ群32%に対してプラセボ群29%、好中球減少症はベネクレクスタ群47%に対して16%、血小板減少症はベネクレクスタ群45%に対してプラセボ群37%を示した。
以上の第3相試験の結果よりAndrew Henry Wei氏らは以下のように結論を述べている。”強力な治療に適応のない未治療の急性骨髄性白血病(AML)患者に対するベネクレクスタ+低用量シタラビン療法は、プラセボ群に比べて全寛解率(CR)、全生存期間(OS)ともに改善しました。また、忍容性も大きな差は確認されませんでしたので、本患者の治療選択肢になり得るでしょう。”
Venetoclax plus LDAC for patients with untreated AML ineligible for intensive chemotherapy: phase 3 randomized placebo-controlled trial(Blood. 2020 Mar 27. pii: blood.2020004856. doi: 10.1182/blood.2020004856. )