・対象は未治療の移植非適応多発性骨髄腫患者だった
・DRd群で病勢進行または死亡のリスクが45%統計学的有意に減少した
2018年12月1日より4日まで米国・サンディエゴで開催されている第60回米国血液学会(ASH)にて、移植非適応多発性骨髄腫患者に対する1次治療としての抗CD38抗体薬であるダラツムマブ(商品名ダラザレックス;以下ダラザレックス)+免疫調節薬(iMids)レナリドミド(商品名レブラミド;以下レブラミド)+デキサメタゾン併用療法の有効性を比較検証した第3相のMAIA試験(NCT02252172)の結果がHôpital Claude HuriezのThierry Facon氏らにより公表された。
MAIA試験とは、未治療の移植非適応多発性骨髄腫患者(N=737人)に対して28日を1サイクルとしてダラザレックス16mg/kg(1~2サイクル目は週1回、3~6サイクル目は週2回、7サイクル目以降は週1回)+1~21日目にレブラミド25mg+1、8、15、22日目にデキサメタゾン併用療法を投与する群(DRd,N=368人)、または28日を1サイクルとして1~21日目にレブラミド25mg+1、8、15、22日目にデキサメタゾン併用療法を投与する群(Rd,N=369人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、微小残存病変(MRD)陰性率などを比較検証した第3相試験である。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は73歳(45-90歳)。75歳以上は44%。性別は男性52%、女性48%。ECOG Performance Statusはスコア0が34%、スコア1が50%、スコア2以上が17%。ISS分類による病期はステージIが27%、ステージIIが43%、ステージIIIが29%。染色体異常のステータスは標準リスク86%、ハイリスク14%。なお、両群間で患者背景に大きな偏りはなかった。
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はDRd群未到達に対してRd群31.9ヶ月、DRd群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを45%統計学的有意に減少した(HR:0.55,95%信頼区間:0.43-0.72,P <0.0001)。
副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は、完全奏効(CR)以上を達成した患者はDRd群47.6%に対してRd群24.7%(ORR:2.75,95%信頼区間:2.01-3.76,P<0.0001)、最良奏効(VGPR)以上を達成した患者はDRd群79.3%に対してRd群53.1%(ORR:3.4,95%信頼区間:2.45-4.72,P<0.0001)。
一方の安全性として、DRd群の5%以上の患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は肺炎、好中球減少症、リンパ球減少症であった。なお、本試験で確認されたDRd群の治療関連有害事象(TRAE)は既存の臨床試験で確認されている安全性プロファイルと一致しており、新たに確認された治療関連有害事象(TRAE)はなかった。
以上のMAIA試験の結果よりThierry Facon氏らは以下のように結論を述べている。”移植非適応多発性骨髄腫患者に対する1次治療としてのDRd療法は、Rd療法に比べて無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善しました。この結果は、ALCYONE試験で確認されているダラザレックスベースの治療が本患者の標準治療であることを支持するでしょう。”