この記事の3つのポイント
・小細胞肺がん患者を対象にベリパリブ+テモゾロミド併用療法有効性を検証した試験
無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)に有意差はなかった
・SLFN11がPARP阻害薬バイオマーカーになり得る可能性が見られた

2018年8月10日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて再発難治性小細胞肺がん患者に対するPARP阻害薬であるベリパリブ(veliparib)+テモゾロミド(商品名テモダール;以下テモダール)併用療法の有効性を比較検証した第II相試験(NCT01638546)の結果がMemorial Sloan-Kettering Cancer Center・M. Catherine Pietanza氏らにより公表された。

本試験は、再発難治性小細胞肺がん患者(N=104人)に対して28日を1サイクルとして1日から7日目に1日2回ベリパリブ40mg+1日から5日目に1日1回テモダール150~200mg併用療法を投与する群(N=55人)、または28日を1サイクルとしてプラセボ+1日から5日目に1日1回テモダール150~200mg併用療法を投与する群(N=49人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、客観的奏効率ORR)を比較検証した第II相試験である。

本試験に登録されたベリパリブ群、プラセボ群それぞれの患者背景は下記の通りである。年齢中央値はベリパリブ群63歳(31-80歳)に対してプラセボ群62歳(35-84歳)。ECOG Performances Statusはスコア0が29%(N=16人)に対して27%(N=13人)、スコア1が71%(N=39人)に対して73%(N=36人)。喫煙歴はあり89%(N=49人)に対して90%(N=44人)、なし5%(N=3人)に対して2%(N=1人)。

前治療歴は1レジメン65%(N=36人)に対して69%(N=34人)、2レジメン35%(N=19人)に対して31%(N=15人)。脳転移歴はあり22%(N=12人)に対して20%(N=10人)。以上のように両群間における患者背景に統計学有意な差は確認されなかった。

以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はベリパリブ群3.8ヶ月に対してプラセボ群2.0ヶ月、ベリパリブ群で病勢進行または死亡のリスク16%減少(HR:0.84,95%信頼区間:0.56-1.25)するも両群間に統計学有意な差は確認されなかった(P=0.39)。また、4ヶ月無増悪生存率PFS rate)はベリパリブ群36%に対してプラセボ群27%、両群間に統計学有意な差は確認されなかった(P=0.19)。

副次評価項目である全生存期間(OS)中央値はベリパリブ群8.2ヶ月(95%信頼区間:6.4-12.2ヶ月)に対してプラセボ群7.0ヶ月(95%信頼区間:5.3-9.5ヶ月)、両群間に統計学有意な差は確認されなかった(P=0.50)。また、1年全生存率(OS rate)はベリパリブ群35%に対してプラセボ群30%、2年全生存率(OS rate)はベリパリブ群10%に対してプラセボ群11%であった。

客観的奏効率(ORR)はベリパリブ群39%(95%信頼区間:25%-54%)に対してプラセボ群14%(95%信頼区間:5%-27%)、ベリパリブ群で統計学有意に客観的奏効率(ORR)が高かった(P=0.016)。なお、ベリパリブ群で完全奏効(CR)を達成した患者2人確認された。

また、近年PARP阻害薬のバイオマーカーの候補として考えられているSLFN11ステータス別の無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)は下記の通りである。なお、本試験におけるSLFN11陽性小細胞肺がん患者はベリパリブ群12人、プラセボ群11人の計23人、SLFN11陽性小細胞肺がん患者は計25人で確認されており、SLFN11ステータス別の各群の患者背景に統計学有意な差は確認されなかった。

ベリパリブ群における無増悪生存期間(PFS)中央値はSLFN11陽性群5.7ヶ月に対してSLFN11陰性群3.6ヶ月(P=0.162)。全生存期間(OS)中央値はSLFN11陽性群12.2ヶ月に対してSLFN11陰性群7.5ヶ月(P=0.014)。以上の結果より、ベリパリブ+テモダール併用療法はSLFN11陰性群よりもSLFN11陽性群で無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を統計学有意に改善した。

一方、プラセボ群における無増悪生存期間(PFS)中央値はSLFN11陽性群1.8ヶ月に対してSLFN11陰性群3.6ヶ月(P=0.009)。全生存期間(OS)中央値はSLFN11陽性群9.4ヶ月に対してSLFN11陰性群7.7ヶ月(P=0.634)。以上の結果より、プラセボ+テモダール併用療法はSLFN11ステータス別で無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)に統計学有意な差は確認されなかった。

一方の安全性として10%以上の患者で確認されたグレード3または4の治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。ベリパリブ群は血小板減少症50%(N=27人)、好中球減少症31%(N=17人)、白血球減少症24%(N=13人)、リンパ球減少症20%(N=11人)に対してプラセボ群はリンパ球減少症26%(N=12人)であった。

以上の第II相試験の結果よりM. Catherine Pietanza氏らは以下のように結論を述べている。”再発難治性小細胞肺がん患者に対するベリパリブ+テモゾロミド併用療法はプラセボ+テモゾロミド併用療法に比べて客観的奏効率(ORR)を統計学有意に改善するものの、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)の改善効果に差はありませんでした。また、小細胞肺がん患者におけるSLFN11ステータスはPARP阻害薬のバイオマーカーになり得る可能性が示唆されました。”

Randomized, Double-Blind, Phase II Study of Temozolomide in Combination With Either Veliparib or Placebo in Patients With Relapsed-Sensitive or Refractory Small-Cell Lung Cancer(DOI: 10.1200/JCO.2018.77.7672 Journal of Clinical Oncology 36, no. 23 (August 10 2018) 2386-2394.)

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