進行性胆道がんに対するゲムシタビン+ティーエスワン併用療法、標準治療に対して全生存期間(OS)の非劣性を証明するASCO-GI2018より


  • [公開日]2018.02.16
  • [最終更新日]2018.02.16

2018年1月18日より20日までアメリカ合衆国・カルフォルニア州・サンフランシスコで開催されている消化器癌シンポジウム(ASCO-GI2018)のオーラルセッションにて、化学療法により治療歴のない進行性胆道がん患者に対するゲムシタビン+テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合(商品名ティーエスワン;以下ティーエスワン)併用療法のゲムシタビン+シスプラチン併用療法に対する非劣性を検証した第III相のJCOG1113試験(UMIN000001685)の結果が国立がん研究センター中央病院・森実千種氏らにより公表された。

JCOG1113試験とは、化学療法未治療の進行性胆道がん患者(N=354人)に対して21日を1サイクルとして1日目、8日目にゲムシタビン1000mg/m2+1日目から14日目までに体表面積に基づいた用量のティーエスワン(60mg、80mg、100mg/日)併用療法を投与する群、21日を1サイクルとして1日目、8日目にゲムシタビン1000mg/m2+シスプラチン25mg/m2併用療法を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間OS)、副次評価として無増悪生存期間PFS)、奏効率(RR)、有害事象(AE)などを比較検証した第III相である。

本試験の結果、主要評価項目であ全生存期間(OS)中央値はゲムシタビン+ティーエスワン併用療法群15.1ヶ月に対してゲムシタビン+シスプラチン併用療法13.4ヶ月を示し、ゲムシタビン+シスプラチン併用療法に対するゲムシタビン+ティーエスワン併用療法の非劣性が証明された(ハザード比:0.95,90%信頼区間:0.78-1.15,P = 0.046)。

また、副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はゲムシタビン+ティーエスワン併用療法群6.8ヶ月に対してゲムシタビン+シスプラチン併用療法5.8ヶ月(ハザード比:0.86,95%信頼区間:0.70-1.07)、奏効率(RR)はゲムシタビン+ティーエスワン併用療法群29.8%(95%信頼区間:22.4-29.8)に対してゲムシタビン+シスプラチン併用療法32.4%(95%信頼区間:25.0-40.6)を示した。

一方の安全性としては、両群ともに忍容性は良好であることを使命した。副作用の発現率としてはゲムシタビン+シスプラチン併用療法群35.1%、ゲムシタビン+ティーエスワン併用療法群29.9%の患者で確認された。

以上のJCOG1113試験の結果より、森実千種氏らは以下のように述べている。”進行性胆道がん患者に対する標準治療であるゲムシタビン+シスプラチン併用療法に対して、ゲムシタビン+ティーエスワン併用療法は全生存期間(OS)の非劣性を証明しました。本試験の結果より、ハイドレーションの必要がない新しい標準治療が進行性胆道がんの治療でも選択肢として検討できるようになりました”

Randomized phase III study of gemcitabine plus S-1 combination therapy versus gemcitabine plus cisplatin combination therapy in advanced biliary tract cancer: A Japan Clinical Oncology Group study (JCOG1113, FUGA-BT).(ASCO-GI2018, Abstract No.205)

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