再発難治性マントル細胞リンパ腫の新薬であるブルトンチロシンキナーゼ(BTK) 阻害薬Acalabrutinib、FDAより迅速承認を受ける


  • [公開日]2017.11.06
  • [最終更新日]2019.12.19

2017年10月31日、前治療歴のある再発または難治性マントル細胞リンパ腫(MCL)患者に対する新薬ブルトンチロシンキナーゼ(BTK) 阻害薬Acalabrutinib(商品名Calquence;以下Calquence)が米国食品医薬品局(FDA)より迅速承認を受けたことをアストラゼネカ社は自社のプレスリリースで公表した。

今回の迅速承認の根拠は、少なくとも1レジメンの前治療歴のある再発または難治性マントル細胞リンパ腫(MCL)患者(N=124人)に対してCalquence単剤療法を投与し、主要評価項目である独立評価委員会による客観的奏効率(ORR)を比較検証したシングルアームオープンラベル第II相試験のACE-LY-004試験(NCT02213926)の結果に基づいている。

本試験の結果、主要評価項目である独立評価委員会による客観的奏効率(ORR)は80%(95%信頼区間:72-87%)であった。また、奏効を示した患者で完全奏効(CR)を達成した患者は40% (95%信頼区間:31-49%)、部分奏効(PR)を達成した患者は40% (95%信頼区間:32-50%)であった。

一方の安全性として、20%以上の患者で発症した最も一般的な有害事象は貧血46%、血小板減少症44%、頭痛39%、好中球減少症36%、下痢31%、疲労28%、筋肉痛21%、痣21%の患者で確認された。また、治療関連有害事象のためにCalquenceの減量、投与中止となった患者はそれぞれ1.6%、6.5%で確認された。

以上の試験結果よりCalquenceが迅速承認を受けたことに対してアストラゼネカ社・CEOのPascal Soriot氏は以下のように述べている。”Calquenceの迅速承認は我々にとって歴史的な瞬間です。血液がん領域における我々の存在を示す最初の新薬であり、マントル細胞リンパ腫(MCL)患者さんに新しい治療選択肢を提供できます。今日の迅速承認は我々のがん領域における科学的なリーダーシップを示すとともに、今後も医学の進歩を担うことに努めていきます。”

また、アメリカ・テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンター・リンパ腫部門のMichael L. Wang氏は以下のように述べている。”マントル細胞リンパ腫(MCL)は進行が急速な血液がんであり、診断時には既に進行しており、また再発率も非常に高い疾患です。そのため、Calquenceの迅速承認は現在闘病中のマントル細胞リンパ腫(MCL)患者さんに対して重要な治療選択肢を提供することになるでしょう。そして、Calquenceが臨床試験で証明した完全奏効率(CR)40%の結果は、マントル細胞リンパ腫(MCL)患者さんがより深い奏効を得るための手助けになることでしょう。”

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