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明暗を分ける結果、キイトルーダ、PD-L1高発現非小細胞がん初回治療にて、50%のリスク軽減
非小細胞肺がんの初回治療として、標準療法である「プラチナ製剤併用療法(化学療法群)」と「キイトルーダ単剤療法(キイトルーダ群)」を比較した第3相臨床試験(Keynote024試験)。患者は腫瘍細胞にPD-L1という分子が多く発現した方(PD-L1発現50%以上。以下、PD-L1高発現)に限定され、PD-L1高発現の非小細胞肺がん患者の割合は27~30%であった。なお、EGFR遺伝子変異やALK遺伝子変異が確認された患者は除外された。 Keynote24試験には日本を含む16か国にて305名の患者が登録され、1対1の割合で「化学療法群」と「キイトルーダ群」に割り付けられた。また、「化学療法群」に割り付けられた患者は、二次治療にてキイトルーダを選択することが可能であり、44%の被験者が2次治療にキイトルーダを選択した(「化学療法群」の44%が、初回治療が化学療法→2次治療をキイトルーダ。このことをクロスオーバーという)。 主な結果については以下の通り。 ・病態進行までの期間である無増悪生存期間(PFS)中央値は、「化学療法群」6.0か月に対して「キイトルーダ群」10.3か月と病態進行リスクを50%軽減した(HR:0.50, 95% Cl:0.37-0.66,p<0.001)。 ・全生存期間(OS)は、両群とも中間解析時点で50%まで達していないが、投与開始から6.0か月時点において、「キイトルーダ群」の80%が生存しており、「化学療法群」は72%が生存している(HR:0.60, 95% Cl:0.41-0.69,p<0.006)。 ・奏効率(腫瘍が一定以上縮小した割合)は、「化学療法群」28%に比べ「キイトルーダ群」40%であった。 ・「化学療法群」の90%に副作用(治療関連有害事象)が発現し、一方、「キイトルーダ群」では73%であった。グレード3~5(中等度から重度)の副作用発現率は、「化学療法群」53%、「キイトルーダ群」27%であった。 演者である独 Lung Clinic GrosshansdorfのMartin Reckは「40%以上の被験者がクロスオーバーしたにもかかわらず、全生存期間が著しく改善した」、「すべての評価項目において、ペムブロリズマブが良好であった。」、「このデータは、進行非小細胞肺がんの患者管理(治療)を完全に変えるものになるだろう」、「この試験は、進行非小細胞肺がん患者の30%のPD-L1高発現となる患者における指標となる試験であった。新しい治療アルゴリズムでは、治療開始前にPD-L1発現を確認するべきである」と話した。 なお、本結果はThe New England Journal of Medicine(NEJM)に同日掲載されており、それについてもおって掲載予定。明暗を分ける結果、オプジーボ、非小細胞がん初回治療にて、有効性示せず
非小細胞肺がんの初回治療として、標準療法である「プラチナ製剤併用療法(化学療法群)」と「オプジーボ単剤療法(オプジーボ群)」を比較した第3相臨床試験(Checkmate026試験)。患者は腫瘍細胞にPD-L1という分子が発現した方(PD-L1発現1%以上。以下、PD-L1発現)に限定され、主要評価である無増悪生存期間の中央判定による解析対象はPD-L1発現5%以上の患者に限定された。なお、EGFR遺伝子変異やALK遺伝子変異が確認された患者は除外された。 Checkmate26試験には541名の患者が登録され、1対1の割合で「化学療法群」と「オプジーボ群」に割り付けられた。また、「化学療法群」に割り付けられた患者は、二次治療にてオプジーボを選択することが可能であった(クロスオーバー可)。 423人が5%以上のPD-L1発現を示し、これにおける主な結果については以下の通り。 ・病態進行までの期間である無増悪生存期間(PFS)中央値は、「化学療法群」5.9か月に対して「オプジーボ群」4.2か月となり、有効性を示せず(HR:1.15, 95% Cl:0.91-1.45,p<0.25)。 ・全生存期間(OS)中央値は、「化学療法群」14.4か月に対して「オプジーボ群」13.2か月となり、有効性を示せず(HR:1.02, 95% Cl:0.80-1.30)。 ・「化学療法群」の92%以上に副作用(治療関連有害事象)が発現し、一方、「オプジーボ群」では71%であった。グレード3~4(中等度から重度)の副作用発現率は、「化学療法群」71%、「オプジーボ群」18%であった。 演者である米Florida Hospital Cancer InstituteのMark A. Socinskiは、「この残念な結果には多くの理由が考えられる」、「非小細胞肺がん初回治療として、ニボルマルとイピリブマブ(ヤーボイ)の併用療法を行うCheckmate227試験に期待する」と話した。明暗を分ける結果、なぜ、結果が異なったのか?
ディスカッションでは、Keynote24試験とChwckmate26試験の結果が異なった理由が議論されたが、主にKeynote24試験では、PD-L1高発現という、被験者選択を厳密に行ったことが評価された。また、以前から懸念されている通り、PD-L1発現を計測するためのキット(PD-L1抗体)が異なることも示唆。オプジーボとキイトルーダの抗体としてのパワーも議論に上がったとのこと。