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オンコロ視点で日本臨床腫瘍学会学術集会をふりかえる

[公開日] 2018.08.16[最終更新日] 2018.08.16

オンコロの可知です。

もうすぐ、7月19~21日に開催した第16回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO)から1か月以上経過しようとしてますが、昨日、やっと私があげるべき記事はすべてアップしました。最近、色々なことが重なり、あまりにも遅筆過ぎてオンコロメンバーも絶句状態です。

そんな言い訳から、今年のJSMOをオンコロ視点で振り返ります。

オンコロとして3回目の出席となるJSMO。

今年は、東京から神戸へは社用車『オンコロワゴン』と『AirBNB」を活用したメンバー全員箱詰め民泊旅行でなく、各自が新幹線や飛行で行きホテルに泊まるというブルジョア(?)な旅でした。

私としては、JSMOはオンコロメンバーが4日もずっと一緒に行動して、オンコロの今までを見直し これからを考えるという、チームビルディングとして重要な旅として捉えていましたが、濱崎筆頭にメンバーはそう捉えてくれませんし、挙句の果てに社長までも「車で行くのはリスクが高い」とストップする始末。

まあ、そうですよね。だれもが、そんなブラック発想な出張は嫌でしょうし、リスクヘッジは経営者としてあたりまえ。もう、4名だったあの頃とは違います。今年はブースも出させて頂きましたので、当社の営業も参加しましたしね。。。

様々なプログラムを聴講

ということで、どうでもいいことで冒頭文が長くなりましたが、今年のJSMOはビヨンド・ボーダーズ。

訳は境界線を越えて。

「国を越えて、臓器を越えて、職種を越えて」ということです。会長の中西先生(九大)が特に意識したのは、医療者と患者の境界線のようですね。

さて、様々なプログラムが執り行われましたが、講演は限られたものしか聴講できなかったことが、残念です。

今回、参加したプログラムや記事にした意図をツラツラと示してみたいと思います。

会長特別講演は、記事に挙げたとおりです(コチラ)。正直、司会者含めて7名の登壇者が話しているものをまとめるのは時間がかかりますので、何度も挫折しながらやっと書き上げました。

個人としては、清水先生(JCHO東京MC)の「ここにいる人と興味のない人のボーダー」、本田さん(読売新聞)の「記者は勉強し続けなければならない」、長谷川さん(ワンステップ)の「いま、やるべきことをやる」が印象的でした。勿論、中西先生の「患者中心ではなく、患者とともに戦うがん医療」というのも言葉も好きです。(一方、製薬会社が最近使うペイシェント・セントリシティ;患者中心というのは、あまり好きになれません)

セミプレナリーは、ほぼ同い年の高濱先生(近大)の発表ですね。試験啓発として支援させていただいており、高濱先生が苦労されているの知っていた故、良い結果となり私もうれしいです。ちなみに、記事は書きましたがCOIはありませんし、リキッドバイオプシーからのタグリッソの有効性探索という意味で貴重な発表と思い、書いています(コチラ)。

その他のセミプレナリーとしては、がん悪液質のアナモレリンは書きましたが(コチラ)、スクラム関係はJSMO後すぐにスクラムジャパンの報告会があったため割愛し(掲載準備中)、CALGB、トリニティ、KN189、REACH-2は既出の発表のサブセットなど視点を変えたもののため書きませんでした。三島先生(国がん東)のオプジーボの胃がんの効果予測バイオマーカーは興味深かったのですが、初期探索試験であると思い、書きませんでした。

ちなみにプレナリーも既出発表のため書きませんでしたが、会場から質問が出ないことが印象的でした。

2日目、ダーウィン・ケモ(どこかドラマの手術支援ロボットと同じ名前という皮肉)の話も、書かせてもらったとおりです(コチラ)。

その他、1日目午前中の「ゲノム医療」は、トップギアプロジェクト(コチラの記事参照)の進捗が少し遅れていることにおどろき、西尾先生(近大)の「後藤功一先生(国がん東)が出演したNHKのときと比べて、私がオンコロに記事載せても患者が少ししか増えませんでした」といった発言は会場に笑いを誘いましたが、そもそも、NHKとオンコロを比べちゃいけないよなと思い。。。それでもこの領域での『教育の大切さ』を改めて知りました。

2日目の教育講演「がん免疫療法の基礎」では西川先生(国がん東)の「マウスIgGとヒトIgGの違いが解らなかったら、今すぐ免疫学を学びなおしてください」は印象的であり、北野先生(国がん中央)のCAR-Tもとても勉強になりました。がん免疫については、最近、お二人の先生含め多くの先生に取材に行っておりますので、折を見て、まとめたいとは思っています。

3日目の山口拓洋先生(東北大)の「がん領域における患者報告アウトカム(PRO)」も中々興味深かったですが、研究結果というよりも、講義のため記事にはしづらく。。。ただ、私は日本有数のがん領域のIoTライターと自負していますし、オンコロのテーマであるePROについては今後も追いかけていきますので、乞うご期待くださいませ。

といった具合で、その他にも、NEDD8活性化酵素阻害薬pevonedistatが急性骨髄性白血病、骨髄異形成患者でも有用な可能性が明らかとなったり、テロメライシンの腫瘍溶解ウイルスと放射線療法併用の食道がんのP1試験結果が出たり、日本人にも経済毒性があることがわかったり、新しい研究成果も多々報告されたようです。

記者としての活動は以上でしょうか。

オンコロ関係での2つのポスター発表
話は変わって、オンコロは去年からJSMOには演題を応募すると決めています。

去年は「がん領域の臨床試験の被験者募集の成果」という題材で口頭発表しましたが、今年は「がん患者の情報収集に関する実態調査」についてポスター発表しました(コチラ)。

結果、罹患者数は情報収集に影響があるのは予想通りでしたが、進行がん患者も情報取得に困っていると予測していたところ、そうでないことは意外な結果でした。

実は、2月に実施した調査は家族も含みますが、家族を入れると解析が複雑になり我々の手には負えないため、がん患者のみに絞ったという裏話があります。上述の山口先生には、カイ二乗検定はエクセルで実施したことを伝えたら、格安ツールを紹介して頂きましたが、もう少し早く知りたかったという。。。もちろん、家族含めたデータで、このような(当社の会長曰く)中学生レベルの解析ではないデータを示したいと思っております。

一方、初日にオンコロも共同研究者として参加した中央大修士課程の仕子君の解析は秀逸でした。さすが、かの有名な大橋先生の研究室の学生です。

テーマは「がん臨床試験に対するイメージと試験関連情報へのアクセス」となります。これは2016年に濱崎が設問設計して、様々な団体の協力の上実施した2102人にも及ぶ大規模な臨床試験に関する認識調査(コチラ)をさらに詳細に解析したものとなります。

論文にするようなので内容の詳細は割愛しますが、年齢ががん臨床試験へのイメージの良し悪しを決めるファクターとなっており、例えば、20代では「積極的」かつ「科学的」にとらえている一方、70代では「慎重的」かつ「感覚的」捉えているようです。その他にも、いくつかのファクターを見出していますが、これは論文化されたら報じたいと思っています。

最後に、ブース出展のことを少し。。。

オンコロブースでは当社営業チームを中心にオンコロの医師向けサービスをプロモーションしました。

内容は医師主導試験や特定臨床研究向けの「被験者募集サービス」「開発業務受託機関サービス)」「ePRO用デバイス貸与サービス」です。我々は、これらのサービスを医師主導試験や特定臨床研究向けにアレンジして、安価なサービスを展開しております。

最後に宣伝失礼しました。。。

といった具合で、今年のJSMOは終わりました。

ペイシェント・アドボケート・プログラムのこと示していませんが、それはオンコロ・プラニング・マネージャーの川上さんが書くことになっていますので、ご期待くださいませ。

以上、とりとめのない長文へのお付き合い有り難うござました。

(文:可知 健太)

オンコロブログ

3Hメディソリューション株式会社 執行役員 可知 健太

オンコロジー領域の臨床開発に携わった後、2015年にがん情報サイト「オンコロ」を立ち上げ、2018年に希少疾患情報サイト「レアズ」を立ち上げる。一方で、治験のプロジェクトマネジメント業務、臨床試験支援システム、医療機器プログラム開発、リアルワールドデータネットワーク網の構築等のコンサルテーションに従事。理学修士。

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