既治療のホルモン受容体陽性/HER2陰性もしくはトリプルネガティブ転移進行乳がんに対するダトポタマブ デルクステカン、良好な奏効率を示すJournal of Clinical より


  • [公開日]2024.05.22
  • [最終更新日]2024.05.22
この記事の3つのポイント
・既治療のホルモン受容体陽性/HER2陰性もしくはトリプルネガティブ転移進行乳がんを対象とした第1相のTROPION-PanTumor01試験
・抗TROP2抗体薬物複合体であるダトポタマブ デルクステカンの有効性安全性を検討
・ダトポタマブ デルクステカンは有望な臨床活性と管理可能な安全性プロファイルを認める

2024年04月23日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて既治療のホルモン受容体陽性/HER2陰性もしくはトリプルネガティブ転移進行乳がんに対する抗TROP2抗体薬物複合体であるダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd)療法の有効性、安全性を検証した第1相のTROPION-PanTumor01試験(NCT03401385)の結果がMassachusetts General Hospital Cancer CenterのAditya Bardia氏らにより公表された。

TROPION-PanTumor01試験は、複数治療歴のある転移進行性固形がん患者に対して、Dato-DXd療法を実施し、主要評価項目として安全性、副次評価項目として盲検下独立中央評価(BICR)による客観的奏効率ORR)を検証した試験である。なお今回の報告は、ホルモン受容体陽性/HER2陰性乳がん41人、トリプルネガティブ乳がん44人の合計85人の患者における結果である。

副次評価項目であるORRは、ホルモン受容体陽性/HER2陰性群で26.8%(95%信頼区間:14.2%-42.9%)、トリプルネガティブ群で31.8%(95%信頼区間:18.6%-47.6%)をそれぞれ示した。

奏効持続期間(DOR中央値は、ホルモン受容体陽性/HER2陰性群で未到達、トリプルネガティブ群で16.8ヶ月、また無増悪生存期間PFS)中央値はホルモン受容体陽性/HER2陰性群で8.3ヶ月、トリプルネガティブ群で4.4ヶ月を示した。

一方の安全性として、治療関連有害事象(TRAE)発症率は、ホルモン受容体陽性/HER2陰性群の全グレードで100%、グレード3以上で41.5%、トリプルネガティブ群の全グレードで100%、グレード3以上で52.3%を示した。最も多くの患者で確認されたTRAEは口内炎で、ホルモン受容体陽性/HER2陰性群は全グレードで82.9%、グレド33以上で9.8%、トリプルネガティブ群は全グレードで72.7%、グレード3以上で11.4%であった。

以上のTROPION-PanTumor01試験の結果よりAditya Bardia氏らは「複数治療歴のあるホルモン受容体陽性/HER2陰性もしくはトリプルネガティブの転移進行性乳がん患者に対する抗TROP2抗体薬物複合体Dato-DXd療法は、臨床的意義のある抗腫瘍効果を示しました」と結論付けた。

参照元:
Datopotamab Deruxtecan in Advanced or Metastatic HR+/HER2– and Triple-Negative Breast Cancer: Results From the Phase I TROPION-PanTumor01 Study(Journal of Clinical Oncology 2024. doi:10.1200/JCO.23.0190)

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