この記事の3つのポイント
・治療歴のあるエストロゲン受容体陽性HER2陰性局所進行性もしくは転移性乳がんが対象の第2相試験
・選択的アンドロゲン受容体調節薬であるenobosarmの有効性・安全性を比較検証
・enobosarmの臨床的有用性が認められる
2024年02月08日、医学誌『The Lancet Oncology』にて治療歴のあるエストロゲン受容体陽性HER2陰性局所進行性もしくは転移性乳がんに対する選択的アンドロゲン受容体調節薬(SARM)であるenobosarm(エノボサーム)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02463032)の結果がThe University of LiverpoolのCarlo Palmieri氏らにより公表された。
本試験は、治療歴のあるエストロゲン受容体陽性HER2陰性局所進行性もしくは転移性乳がん患者に対して、1日1回enobosarm単剤を9mg(N=72人)もしくは18mg(N=64人)投与する群に1対1の割合で振り分け、主要評価項目として24週時点の臨床的有用率(CBR;clinical benefit rate)を検証した多施設共同ランダム化オープンラベルの試験である。
登録された136人の患者のうち、102人(75%)の患者が評価可能(9mg,n=50;18mg,n=52)であり、年齢中央値は9mg群で60.5歳、18mg群で62.5歳であった。
主要評価項目である24週時点のCBRは、enobosarm 9mg群で32%(95%信頼区間:20%–47%)に対して18mg群で29%(95%信頼区間:17%–43%)を示した。一方の安全性として、グレード3もしくは4の治療関連有害事象(TRAE)発症率は、9mg群で8%(N=6/75人)に対して18mg群で16%(N=10/61人)を示した。主なTRAEは、肝トランスアミナーゼ増加が9mg群で4%に対して18mg群で3%、高カルシウム血症が3%に対して3%、疲労が1%に対して3%を示した。それぞれの群で1人、3人の死亡症例が確認されが、治療に起因したものではなかった。
以上の結果よりCarlo Palmieri氏らは「治療歴のあるエストロゲン受容体陽性/HER2陰性局所進行性もしくは転移性乳がんに対するenobosarm単剤療法は、良好な臨床的有用率を示しました」と結論を述べた。
参照元:Activity and safety of enobosarm, a novel, oral, selective androgen receptor modulator, in androgen receptor-positive, oestrogen receptor-positive, and HER2-negative advanced breast cancer (Study G200802): a randomised, open-label, multicentre, multinational, parallel design, phase 2 trial(Lancet Oncol 2024 DOI:10.1016/S1470-2045(24)00004-4.)