化学放射線療法後の食道がんに対する積極的サーベイランス、手術に対して非劣勢を示すESMO2023より


  • [公開日]2023.10.27
  • [最終更新日]2023.10.25
この記事の3つのポイント
・化学放射線療法後の食道がんを対象としたSANO試験
・積極的サーベイランスと標準治療有効性安全性を検証
・一部の食道がんにおいて、積極的サーベイランスが手術と比較して全生存期間において非劣性を示す

2023年10月20~24日、スペイン・マドリードで開催されているESMO(欧州臨床腫瘍学会)にて化学放射線療法後の食道がんに対する積極的サーベイランス(局所再発が検出された場合のみ手術)の有効性、安全性を比較検証したSANO試験の結果がRotterdam, NetherlandsのBerend J. Van der Wilk氏らにより公表された。

SANO試験は、化学放射線療法より6~12週間残存病変のない食道がんに対して、積極的サーベイランスを実施する群(N=198人)、標準手術療法を実施する群(N=111人)に分け、主要評価項目として全生存期間(OS)を比較検証した試験である。

本試験の結果、OSの評価により標準手術療法に対する積極的サーベイランスの非劣性が証明された(HR:1.14,95%信頼区間:0.74-1.78,P=0.55)。また、EORTC QLQ-C30評価による介入後6~9ヶ月時点の健康関連の生活の質(HRQoL)は、標準手術療法群に比べて積極的サーベイランス群で明らかに良好であった。

以上のThe SANO試験の結果よりMagnus Nilsson氏らは、「積極的サーベイランスの長期的有効性を評価するためには、更に長期間の経過観察が必要です」と述べている。

参照元:
Van der Wilk BJ, et al. Neoadjuvant chemoradiotherapy followed by surgery versus active surveillance for oesophageal cancer (SANO-trial): a phase-III stepped-wedge cluster randomised trial. ESMO Congress 2023, LBA75

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