この記事の3つのポイント
・非小細胞肺がんに対する第3相TROPION-Lung01試験の結果
・2次/3次治療としてのダトポタマブ デルクスデカンの有効性・安全性を検証
・無増悪生存期間の有意な改善が認められ、さらなる追跡と学会での発表を予定
第一三共株式会社とアストラゼネカ株式会社は7月3日、非小細胞肺がんにおける2次/3次治療としての抗TROP2抗体薬物複合体(ADC)ダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd/DS-1062)の第3相TROPION-Lung01試験の結果を発表した。
TROPION-Lung01試験は、治療歴のある進行または転移性非小細胞肺がん患者約600名におけるDato-DXd投与群の有効性と安全性を、現在の標準療法であるドセタキセル投与群と比較検証したグローバル第3相臨床試験である。
今回のプレスリリースでは、主要評価項目の一つである無増悪生存期間(PFS)が、Dato-DXdにより統計的有意に改善されたことを報告。一方、もう一つの主要評価項目である全生存期間(OS)の中間解析においては、ドセタキセル投与群に対してDato-DXdによる初期の改善傾向が認められたものの、統計学的に有意な改善を示さなかった。全生存期間については、最終解析まで評価を継続する予定。
安全性については、Dato-Dxdの他の試験結果と同様の傾向が認められたとのこと。同剤と関連のある間質性肺疾患(ILD)については、大部分が低グレード(グレード1または2)であったが、グレード5(死亡)も認められている。
なお、同試験の結果の詳細は、今後学会にて公表の予定としている。
ダトポタマブ デルクステカン(Dato-DXd/DS-1062)とは
ダトポタマブ デルクステカンは、がん細胞の細胞膜上に高発現する抗原TROP2と特異的に結合するヒト化モノクローナル抗体に、トポイソメラーゼⅠ阻害剤剤(DXd)をを結合させた薬剤。1つの抗体につき約4個のDXdが結合している。薬物をがん細胞内に直接届けることにより、薬物の全身曝露を抑えるよう設計されている。
参照元:第一三共 プレスリリース