3月10日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて再発/転移性腺様嚢胞がん(ACC)患者に対する抗PD-L1抗体薬であるバベンチオ(一般名:アベルマブ、以下バベンチオ)+VEGFR阻害薬であるアキシチニブ併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT03990571)の結果がThe University of Texas MD Anderson Cancer CenterのRenata Ferrarotto氏らにより公表された。
本試験は、再発/転移性腺様嚢胞がん(ACC)患者(N=40人)に対してバベンチオ+アキシチニブ併用療法を実施し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性を検証したオープンラベルシングルアームの第2相試験である。
腺様嚢胞がん(ACC)は、主に唾液腺などの分泌腺から発生する悪性腫瘍でまれな腫瘍であり、有効な治療法が確立されていない。他の第2相試験では再発転移性腺様嚢胞がん(ACC)患者に対するマルチキナーゼ阻害薬であるレンビマ(一般名:レンバチニブ、以下レンビマ)単剤療法を実施した結果、部分奏効(PR)15.6%、病勢安定(SD)75%、病勢進行(PD)6.3%であった。(参考:J Clin Oncol. 2019 Jun 20;37(18):1529-1537. doi: 10.1200/JCO.18.01859. Epub 2019 Apr 2.)
以上の背景より、再発/転移性腺様嚢胞がん(ACC)患者に対するバベンチオ+アキシチニブ併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験の結果、有効性評価可能28人における主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は18%(95%信頼区間:6.1-36.9%)、6ヶ月客観的奏効率(ORR)は14%を示した。副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は7.3ヶ月(95%信頼区間:3.7-11.2ヶ月)、6ヶ月無増悪生存率(PFS)は57%(95%信頼区間:41-78%)、全生存期間(OS)中央値は16.6ヶ月(95%信頼区間:12.4ヶ月-未到達)を示した。
一方の安全性として、評価可能であった34人において最も多くの患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)は疲労が62%、高血圧が32%、下痢が32%であった。
以上の第2相試験の結果より、Renata Ferrarotto氏らは「再発/転移性腺様嚢胞がん(ACC)患者に対する抗PD-L1抗体薬バベンチオ+VEGFR阻害薬アキシチニブは、有効性評価可能な患者さんにおいて客観的奏効率18%を示し、主要評価項目を達成しました」と結論を述べている。
Phase II Clinical Trial of Axitinib and Avelumab in Patients With Recurrent/Metastatic Adenoid Cystic Carcinoma(J Clin Oncol. 2023 Mar 10;JCO2202221. doi: 10.1200/JCO.22.02221.)