高リスク浸潤性尿路上皮がんに対する術後補助化学療法としての抗PD-1抗体薬オプジーボ単剤療法、3年間の追跡調査で抗腫瘍効果を認めるASCO GU 2023


  • [公開日]2023.03.02
  • [最終更新日]2023.03.01
この記事の3つのポイント
・高リスク浸潤性尿路上皮がん患者が対象の第3相試験
術後補助化学療法としてのオプジーボ単剤療法の有効性安全性プラセボと比較検証
・3年間の追跡調査結果にて、全患者における無増悪生存期間はオプジーボ単剤群で22.0ヶ月と、
 プラセボ単剤群(10.9ヶ月)に対して病勢進行または死亡のリスクを29%減少した

2月16日~18日、米国カリフォルニア州・サンフランシスコにて開催された泌尿器癌シンポジウム(ASCO GU 2023)にて高リスク浸潤性尿路上皮がん患者に対する術後補助化学療法としての抗PD-1抗体薬であるオプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)単剤療法、プラセボ単剤療法を比較する第3相のCheckMate-274試験(NCT02632409)の3年間の追跡調査結果がIcahn School of Medicine at Mount SinaiのMatt D. Galsky氏らにより公表された。

CheckMate-274試験は、高リスク浸潤性尿路上皮がん患者(N=353人)に対する術後補助化学療法として2週を1サイクルとしてオプジーボ240mg単剤を投与する群(PD-L1陽性群(1%以上):N=140人)、もしくはプラセボ単剤を投与する群(PD-L1陽性群(1%以上):N=142人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全患者群(ITT)における無増悪生存期間(DFS)、PD-L1陽性群における無増悪生存期間(DFS)、副次評価項目として全患者群(ITT)における全生存期間OS)、PD-L1陽性群における全生存期間(OS)、非尿路上皮無再発生存期間(NUTRFS)、無遠隔転移生存期間DMFS)などを比較検証した多施設共同二重盲検ランダム化の第2相試験である。

本試験のフォローアップ期間中央値36.1ヶ月時点における結果、主要評価項目である全患者群(ITT)における無増悪生存期間(DFS)中央値はオプジーボ単剤群の22.0ヶ月(95%信頼区間:18.8–36.9ヶ月)に対してプラセボ単剤群で10.9ヶ月(95%信頼区間:8.3–15.2ヶ月)と、オプジーボ単剤群で全患者群(ITT)における病勢進行または死亡(PFS)のリスクを29%減少(HR:0.71、95%信頼区間:0.58-0.86)した。

PD-L1陽性群における無増悪生存期間(DFS)中央値は、オプジーボ単剤群の52.6ヶ月(95%信頼区間:25.8ヶ月–未到達)に対してプラセボ単剤群で8.4ヶ月(95%信頼区間:5.6–17.9ヶ月)と、オプジーボ単剤群でPD-L1陽性群における病勢進行または死亡(PFS)のリスクを48%減少(HR:0.52、95%信頼区間:0.37–0.72)した。

副次評価項目である全患者群(ITT)における非尿路上皮無再発生存期間(NUTRFS)中央値は、オプジーボ単剤群の25.9ヶ月(95%信頼区間:19.4–44.0ヶ月)に対してプラセボ単剤群で13.7ヶ月(95%信頼区間:8.4–20.3ヶ月)と、オプジーボ単剤群で全患者群(ITT)における非尿路上皮再発または死亡(NUTRFS)のリスクを28%減少(HR:0.72、95%信頼区間:0.59–0.88)した。

PD-L1陽性群における非尿路上皮無再発生存期間(NUTRFS)中央値は、オプジーボ単剤群の52.6ヶ月(95%信頼区間:29.7ヶ月-未到達)に対してプラセボ単剤群で8.4ヶ月(95%信頼区間:5.6–20.0ヶ月)と、オプジーボ単剤群でPD-L1陽性群における非尿路上皮再発または死亡(NUTRFS)のリスクを47%減少(HR:0.53、95%信頼区間:0.38–0.74)した。

全患者群(ITT)における無遠隔転移生存期間(DMFS)中央値は、オプジーボ単剤群の47.1ヶ月(95%信頼区間:26.5ヶ月-未到達)に対してプラセボ単剤群で28.7ヶ月(95%信頼区間:16.6–47.8ヶ月)と、オプジーボ単剤群で全患者群(ITT)における遠隔転移または死亡(DMFS)のリスクを26%減少(HR:0.74、95%信頼区間:0.60–0.92)した。

PD-L1陽性群における無遠隔転移生存期間(DMFS)中央値は、オプジーボ単剤群の未到達(95%信頼区間:44.0ヶ月-未到達)に対してプラセボ単剤群で20.7ヶ月(95%信頼区間:10.6ヶ月-未到達)、オプジーボ単剤群でPD-L1陽性群における遠隔転移または死亡(DMFS)のリスクを42%減少(HR:0.58、95%信頼区間:0.40–0.84)した。

一方の安全性として、グレード3もしくは4の治療関連有害事象(TRAE)発症率はオプジーボ単剤群の18.2%に対してプラセボ単剤群で7.2%であった。

以上の結果より、Matt D. Galsky氏らは「高リスク浸潤性尿路上皮がん患者に対する術後補助化学療法としての抗PD-1抗体薬であるオプジーボ単剤療法は、追跡期間が延長されてもプラセボ単剤療法に対して良好な抗腫瘍効果を認め、新たな安全性シグナルは確認されませんでした。根治切除術後の高リスク浸潤性尿路上皮がん患者に対する術後補助療法としてのオプジーボ単剤療法が標準治療であることを裏付けるものです」と結論を述べている。

Extended follow-up results from the CheckMate 274 trial.(2023 ASCO GU Cancers Symposium, Abstract#LBA443)

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