治療歴のあるFGFR2融合/再構成遺伝子陽性の切除不能/転移性肝内胆管がんに対するフチバチニブ単剤療法、客観的奏効率42%を示すThe New England Journal of Medicineより


  • [公開日]2023.02.06
  • [最終更新日]2023.02.02
この記事の3つのポイント
・治療歴のあるFGFR2融合/再構成遺伝子陽性の切除不能/転移性肝内胆管がん患者が対象の第2相試験
フチバチニブ単剤療法の有効性安全性を検証
・客観的奏効率42%、奏効持続期間9.7ヶ月を認めた

2023年1月19日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて治療歴のあるFGFR2融合/再構成遺伝子陽性の切除不能/転移性肝内胆管がん(iCCA)患者に対するFGFR阻害薬であるFutibatinib(フチバチニブ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のFOENIX-CCA2試験(NCT02052778)の結果がStanford University School of MedicineのLipika Goyal氏らにより公表された。

FOENIX-CCA2試験とは、少なくとも1レジメン以上の治療歴のあるFGFR2融合/再構成遺伝子陽性の切除不能/転移性肝内胆管がん(iCCA)患者(N=103人)に対して1日1回フチバチニブ20mg単剤を投与し、主要評価項目として独立判定委員会(ICR)評価による客観的奏効率(ORR部分奏効完全奏効以上として定義)、副次評価項目として奏効持続期間(DOR)、病勢コントロール率DCR)、無増悪生存期間PFS)、全生存期間OS)などを検証した多施設共同オープンラベルの第2相試験である。

本試験が開始された背景として、胆管がん(iCCA)は予後不良ながんの一種であるが、FGFR2融合/再構成遺伝子は胆管がん(iCCA)治療の有望なターゲットであることが確認されている。基礎試験にて、FGFR阻害薬であるフチバチニブ単剤療法はFGFR2融合/再構成遺伝子変異腫瘍に対して良好な抗腫瘍効果を示すことが確認されている。以上の背景より、治療歴のあるFGFR2融合/再構成遺伝子陽性の切除不能/転移性肝内胆管がん(iCCA)患者に対するFGFR阻害薬であるフチバチニブ単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。

本試験の結果、主要評価項目である独立判定委員会(ICR)評価による客観的奏効率(ORR)は42%(95%信頼区間:32-52%、N=43/103人)を示し、奏効持続期間(DOR)中央値は9.7ヶ月を示した。なお、奏効率は患者背景(高齢者、複数治療歴、TP53遺伝子変異等)に関係なく確認されている。

本試験のフォローアップ期間中央値17.1ヶ月時点における副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は9.0ヶ月、全生存期間(OS)中央値は21.7ヶ月を示した。

一方の安全性として、多くの患者で確認されたグレード3の治療関連有害事象(TRAE)は高リン酸血症が30%、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ値の上昇が7%、口内炎が6%、疲労が6%であった。治療関連有害事象(TRAE)による治療中止率は2%、死亡は1人の患者でも確認されなかった。

以上のFOENIX-CCA2試験の結果よりLipika Goyal氏らは「FGFR2融合/再構成遺伝子陽性の切除不能/転移性肝内胆管がん(iCCA)患者さんに対するFGFR阻害薬フチバチニブ単剤療法は、臨床的ベネフィットのある奏効を示しました」と結論を述べている。

Futibatinib for FGFR2-Rearranged Intrahepatic Cholangiocarcinoma(N Engl J Med. 2023 Jan 19;388(3):228-239. doi: 10.1056/NEJMoa2206834.)

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