6月27日、第一三共株式会社は、HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)であるエンハーツ(一般名:トラスツズマブ デルクステカンDS-8201/T-Dxd、以下エンハーツ)について、HER2低発現の乳がんに係る効能又は効果を追加する製造販売承認事項一部変更承認申請を日本国内で行ったと発表した。
日本国内において、乳がんは女性で最も多いがん腫であり、2020年の患者数は約9万人と報告されている。HER2はがん細胞の表面に発現するタンパク質であり、乳がんのほかに胃がんや大腸がん、肺がんなどでもみられる。乳がん患者の約半数はHER2の発現量の少ない(HER2低発現)と言われるが、現在HER2低発現乳がんに対する抗体薬は存在しない。
今回の承認は、グローバル第3相DESTINY-Breast04試験(NCT03734029)の結果に基づくもの。同試験は、化学療法による前治療を受けたHER2低発現の患者(N=55人)に対してエンハーツを投与した際の有効性と安全性を主治医選択の化学療法を受けた患者群(N=373人)と比較検証したランダム化試験である。試験の結果、ホルモン受容体(HR)陽性患者群、全患者群のいずれにおいても無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)の改善を認めたという。
第一三共はプレスリリースにて、「HER2低発現の乳がん治療における新たな治療の選択肢を提供することで、国内のより多くの乳がん患者さんに貢献できるものと期待しております」と述べている。
なお、DESTINY-Breast04試験の結果については、米国臨床腫瘍学会(ASCO 2022)や医学誌「The New England Journal of Medicine」でも発表されている。
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