・胃大網動脈から約3cm離す大網温存の有効性・安全性を比較検証
・標準治療である大網完全切除と同等の手術時間、出血量、手術合併症発生率を示した
2020年1月23日(木)~25日(土)に米国・サンフランシスコにて開催された米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(2020 Gastrointestinal Cancers Symposium)にて、進行性胃がん患者に対する開腹による胃全摘術および幽門側胃切除術の際に胃大網動脈から約3cm離す大網温存の有効性、安全性を比較検証する第2相のTOP-G試験(UMIN000005421)の結果が横浜市立大学附属病院の山田 貴允氏らにより公表された。
本試験は、進行性胃がん患者に対して開腹による胃全摘術および幽門側胃切除術の際に大網の完全切除をする群(N=125人,グループA)、または開腹による胃全摘術および幽門側胃切除術の際に胃大網動脈から約3cm離す大網温存をする群(N=126人,グループB)に無作為に振り分け、主要評価項目として3年無再発生存割合(RFS)、副次評価項目として手術時間、出血量、手術合併症発生割合などを比較検証した第2相試験である。
本試験が実施された背景として、進行性胃がんの標準治療として大網完全切除が確立している。しかしながら、大網完全切除が生存率を向上する臨床的意義については比較検証されていない。以上の背景より、進行性胃がんに対する大網完全切除、大網温存の有効性を比較検証するTOP-G試験が開始された。
本試験の結果、副次評価項目である手術時間、出血量、手術合併症発生割合の結果は下記の通りである。手術時間はグループAが244分に対してグループBが204分(P=0.156)、出血量はグループAが260mlに対してグループBが210ml(P=0.371)、手術合併症発生割合はグループAが28.9%に対してグループBが25.8%(P=0.584)。
以上のTOP-G試験の結果より山田 貴允氏らは以下のように結論を述べている。”進行性胃がん患者に対する開腹による胃全摘術および幽門側胃切除術における大網温存は、現在の標準治療である大網完全切除と同等の手術時間、出血量、手術合併症発生率を示しました。”
The short-term outcomes from TOP-G trial: Ramdomized phase II noninferiority trial comparing gastrectomy with omentectomy and omentum preserving gastrectomy for advanced gastric cancer.(J Clin Oncol 38, 2020 (suppl 4; abstr 285))