・ダラザレックス+カイプロリス+デキサメタゾン併用療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率は全患者群で84%を示し、レブラミド不応患者群では79%を示した
2019年5月9日、医学誌『blood』にて複数治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者に対する抗CD38モノクローナル抗体薬であるダラツムマブ(商品名ダラザレックス;以下ダラザレックス)+プロテアソーム阻害薬であるカルフィルゾミブ(商品名カイプロリス;以下カイプロリス)+デキサメタゾン併用療法の有効性、安全性を検証した第1b相試験(NCT01998971)の結果がThe Mount Sinai HospitalのAjai Chari氏らにより公表された。
本試験は、複数治療歴(1~4レジメン)のある再発難治性多発性骨髄腫患者(N=85人)に対して28日を1サイクルとして1~2日目にダラザレックス8~16mg/kg(その後は添付文書に準ずる)+1、8、15日目にカイプロリス70mg/m2(※1日目にmg/m2)+1、8、15、22日目にデキサメタゾン40mg併用療法を投与し、主要評価項目として安全性などを検証した第1b相試験である。
本試験が実施された背景として再発難治性多発性骨髄腫の治療選択肢が限られており、その予後が不良のためである。また、多発性骨髄腫の治療はレナリドミド(商品名レブラミド;以下レブラミド)ベースの治療が増加しているが、レブラミド不応になった場合の治療法の開発が必要である。以上の背景より、本試験が実施された。
本試験の結果、主要評価項目である安全性は下記の通りである。最も多くの患者で確認されたグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は血小板減少症31%、リンパ球減少症24%、貧血21%、好中球減少症21%で、インフュージョンリアクションは43~60%の患者で確認された。
一方の有効性として、客観的奏効率(ORR)は全患者群で84%を示し、レブラミド不応患者群では79%を示した。また、無増悪生存期間(PFS)中央値は未到達であり、全患者群における12ヶ月無増悪生存率(PFS)74%、レブラミド不応患者群では65%を示した。
以上の第1b相試験の結果よりAjai Chari氏らは以下のように結論を述べている。”複数治療歴のある再発難治性多発性骨髄腫患者に対するダラザレックス+カイプロリス+デキサメタゾン併用療法は、好中球減少症の発症は低率であり、抗腫瘍効果も非常に良好でした。”