・イミフィンジ+リムパーザ併用療法の有効性・安全性を検証
・客観的奏効率は10.5%で、客観的奏効率の基準値を満たさなかった
2019年5月4日、医学誌『Journal of Thoracic Oncology』にて再発小細胞肺がん患者に対する抗PD-L1抗体薬であるデュルバルマブ(商品名イミフィンジ;以下イミフィンジ)+PARP阻害薬であるオラパリブ(商品名リムパーザ;リムパーザ)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02484404)の結果がNational Cancer Institute, BethesdaのAnish Thomas氏らにより公表された。
本試験は、再発小細胞肺がん患者(N=20人)に対して4週を1サイクルとしてイミフィンジ1500 mg+1日2回リムパーザ300mg併用療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)を検証したシングルアームの第2相試験である。
本試験が実施された背景として、免疫チェックポイント阻害薬は抗腫瘍効果が高いにも関わらず、小細胞肺がんに対する有効性が限られている。 そこで、免疫チェックポイント阻害薬にPARP阻害薬を併用することで感受性が高まることを期待し、本試験が実施された。
本試験の評価可能であった19人の患者における結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は10.5%(N=2人)、奏効の内訳としては部分奏効(PR)1人、完全奏効(CR)1人である。なお、1人の患者でEGFR遺伝子変異の発現が確認されている。また、臨床的有用率は21.1%(N=4人,95%信頼区間:6.1-45.6%)を示し、病勢安定(SD)を維持した期間は6ヶ月以上であった。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)は貧血80%、リンパ球減少症60%、白血球減少症50%の患者で確認された。
以上の第2相試験の結果よりAnish Thomas氏らは以下のように結論を述べている。”再発小細胞肺がん患者に対する抗PD-L1抗体薬イミフィンジ+PARP阻害薬リムパーザ併用療法は、試験開始前に設定した客観的奏効率(ORR)の基準値を満たすことができませんでした。”