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がん患者のQOL(生活の質)、うつ症状・不安、終末期ケアの経過に影響を与える緩和ケアの内容について

[公開日] 2018.03.28[最終更新日] 2018.03.28

2018年2月23日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて、進行性肺がんまたは大腸がん以外の進行性消化器系がんに新規罹患した患者に対して医師または看護師による早期緩和ケアを実施し、その緩和ケアの内容が与える患者の生活の質(QOL)、うつ症状・不安症状に対する影響、終末期ケアの経過について検証した臨床試験(NCT01401907)の結果がTulane Cancer Center・Michael Hoerger氏らにより公表された。 本試験は、治癒不可能な進行性肺がんまたは大腸がん以外の進行性消化器系がんと8週間以内に診断された18歳以上の患者(N=171人)に対してMassachusetts General Hospitalの医師または看護師が早期緩和ケアを実施し、がん患者のQOLを身体面、社会・家族面、心理面などより測定したFACT-G(Functional Assessment of Cancer Therapy. General)のベースラインより24週間後の変化、うつ病、適応障害のスクリーニング法であるHADS(Hospital Anxiety and Depression Scale)スコアのベースラインより24週間後の変化を検証した試験である。 本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値65.44歳(26-87歳)、性別は女性47.4%(N=81人)。学歴は高卒以下33.3%(N=57人)。年収50,000$以下39.8%(N=68人)、50,001$以上52.0%(N=89人)。人種は白人88.9%(N=152人)。喫煙歴は年間10箱以下43.9%(N=75人)、年間11箱以上52.0%(N=113人)。ECOG Performance Statusスコア0が25.7%(N=44人)、1が66.1%(N=113人)。がんの種類は消化器系がん46.2%(N=79人)、肺がん53.8%(N=92人)。初回の治療歴としては化学療法を受けた患者80.7%(N=138人)、放射線療法19.3%(N=33人)。 上記背景を有する患者に対して緩和ケアを実施したフォローアップ期間中央値18.0ヶ月時点の結果は下記の通りである。緩和ケアの回数は全患者の合計で2921回、患者1人当たりの緩和ケアの回数は17.1回(1-59回)、そして大半の患者は少なくとも3回の緩和ケアを受けていた。また、緩和ケアの平均診療時間は34.04分、緩和ケアを実施した場所は外来83.2%、病棟10.0%、電話6.7%などである。 実施された緩和ケアの内容としては割合が多い順に、症状管理74.6%(2179/2921回)、生命を脅かす病気への対処法64.2%(1875/2921回)、その他、病気の経過等であった。また、最初の3回目の緩和ケアで取り上げられた内容、最後の3回の緩和ケアで取り上げられた内容のうち、時間の経過と伴にその割合が減少したもの、増加したものは下記の通りである。 減少したものとしてはラポール構築(信頼関係構築)が85.7%より32.4%に減少(P<0.001)、病気についての理解促進が47.2%より35.8%(P<0.001)に減少。増加したものとしては治療についての事前計画が19.0%より32.4%に増加(P<0.001)、治療決定が5.1%から27.9%に増加(P<0.001)、将来の処遇が0.2%から10.5%に増加(P<0.001)した。 症状管理は具体的に痛み、吐き気、疲労などに関する内容であり、最初の3回目までの緩和ケアで取り上げられた内容、最後の3回の緩和ケアで取り上げられた内容の中で時間経過と伴に割合が減少したもの、増加したものは下記の通りである。減少したものとしては吐き気が23.9%から16.6%に減少(P=0.009)。増加したものとしては痛みが35.1%から56.3%に増加(P<0.001)、呼吸困難が6.7%から13.9%に増加(P<0.001)、せん妄が0.0%から6.6%に増加(P<0.001)した。 また、ベースラインより24週間後のQOLスコア、うつ症状・不安スコアは緩和ケアの内容として生命を脅かす病気への対処法を実施することで統計学的有意に改善する傾向を示した。一方で、緩和ケアの話題として症状管理を実施することでベースラインより24週間後のQOLスコア、うつ症状は統計学的有意に悪化する傾向を示した。その他の緩和ケアの内容においては重要な差は確認されなかった。 終末期ケアの経過としては、死亡する60日前に新規に化学療法を実施した患者19.2%(N=24人)、入院した患者64.8%(N=81人)、救急車により運ばれた患者48.8%(N=61人)であった。また、81.6%(N=102人)の患者がホスピスを受診し、57.6%(N=72人)の患者が自宅で死亡した。そして、緩和ケアの内容として治療についての事前計画を実施することで新規に化学療法を受ける患者の割合(オッズ比:0.57,P=0.02)、入院する割合(オッズ比:0.62,P=0.005)が減少し、ホスピスを受診する患者の割合(オッズ比:1.79,P=0.03)は増加した。なお、その他の緩和ケアの内容においては重要な差は確認されなかった。 以上の臨床試験の結果より、Michael Hoerger氏らは以下のように結論を述べている。”生命を脅かす病気への対処法、治療についての事前計画、治療決定の内容に特化した緩和ケアを実施することでがん患者のQOL(生活の質)、うつ症状・不安などは改善傾向を示し、終末期ケアの経過としてホスピスを受診する患者が増加することを示しました。つまり、これらは緩和ケアの内容として重要な要素であることが本試験より証明されました。” Defining the Elements of Early Palliative Care That Are Associated With Patient-Reported Outcomes and the Delivery of End-of-Life Care(DOI: 10.1200/JCO.2017.75.6676 Journal of Clinical Oncology - published online before print February 23, 2018)
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山田創

製薬会社、オンコロジーメディアの運営を経て、フリーのメディカルライターへ転身。Twitterアカウント「@So_Yamada_」

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