この記事の3つのポイント
・悪性黒色腫(メラノーマ)の35%から50%の患者はBRAFV600遺伝子変異を有している
BRAF遺伝子変異根治切除不能悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対するエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用療法はゼルボラフ単剤療法よりも無増悪生存期間PFS)を統計学的有意に延長した
・エンコラフェニブ+ビニメチニブ併用療法の主なグレード3又は4の有害事象(AE)はγ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)増加、血中クレアチンホスホキナーゼ(CK)増加、高血圧

2018年3月22日、医学誌『The Lancet Oncology』にてBRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫(メラノーマ)患者を対象に、エンコラフェニブ(LGX818)+ビニメチニブ(MEK162)併用療法、エンコラフェニブ単独療法、ベムラフェニブ(商品名ゼルボラフ;以下ゼルボラフ)単独療法のそれぞれの有効性を比較検証した第III相のCOLUMBUS試験(NCT01909453)の結果がUniversity Hospital Zürich Skin Cancer Center・Reinhard Dummer氏らにより公表された。

COLUMBUS試験とは、BRAF遺伝子変異を有するステージIIIB又はIIIC又はIV悪性黒色腫(メラノーマ)患者(N=577人)に対して1日1回エンコラフェニブ400mg+1日2回ビニメチニブ45mg併用療法を投与する群(N=192人)、1日1回エンコラフェニブ300mg単剤療法を投与する群(N=194人)、1日2回ゼルボラフ960mg単剤療法を投与する群(N=191人)に1:1:1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として盲検下独立中央評価によるエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用療法、ゼルボラフ単独療法の無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として盲検下独立中央評価によるエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用療法、エンコラフェニブ単独療法の無増悪生存期間(PFS)、盲検下独立中央評価による全奏効率ORR)、無作為化から初回奏効までの期間(TTR)、奏効持続期間(DOR)などを比較検証した国際多施設共同オープンラベルの第III相試験である。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値はエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用群で57.0歳(20-89歳)、エンコラフェニブ単剤群で54.0歳(23-88歳)、ゼルボラフ単剤群で56.0歳(21-82歳)。性別はエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用群で男性60%(N=115人)、女性40%(N=77人)、エンコラフェニブ単剤群で男性56%(N=108人)、女性44%(N=86人)、ゼルボラフ単剤群で男性58%(N=111人)、女性42%(N=80人)。ECOG Performance Statusはエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用群でスコア0が71%(N=136人)、スコア1が29%(N=56人)、エンコラフェニブ単剤群スコア0が72%(N=140人)、スコア1が28%(N=54人)、ゼルボラフ単剤群スコア0が73%(N=140人)、スコア1が27%(N=51人)。

BRAF遺伝子変異ステータスはエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用群でBRAFV600Eが89%(N=170人)、BRAFV600Kが11%(N=22人)、エンコラフェニブ単剤群でBRAFV600Eが89%(N=173人)、BRAFV600Kが10%(N=19人)、ゼルボラフ単剤群でBRAFV600Eが88%(N=168人)、BRAFV600Kが12%(N=23人)。試験登録時の腫瘍ステージはエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用群でIIIB/IIICが5%(N=9人)、IVM1aが14%(N=26人)、IVM1bが18%(N=34人)、IVM1cが64%(N=123人)、エンコラフェニブ単剤群でIIIB/IIICが3%(N=6人)、IVM1aが15%(N=29人)、IVM1bが20%(N=39人)、IVM1cが62%(N=120人)、ゼルボラフ単剤群でIIIB/IIICが6%(N=11人)、IVM1aが13%(N=24人)、IVM1bが16%(N=31人)、IVM1cが65%(N=125人)。免疫療法前治療歴はエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用群でイピリムマブ(商品名ヤーボイ;以下ヤーボイ)4%(N=7人)、抗PD-1/PD-L1抗体薬1%(N=1人)、エンコラフェニブ単剤群でヤーボイ5%(N=10人)、抗PD-1/PD-L1抗体薬1%(N=2人)、ゼルボラフ単剤群でヤーボイ4%(N=7人)、抗PD-1/PD-L1抗体薬0%。3群間における患者背景の違いはなかった。

以上の背景を有する患者に対するフォローアップ期間中央値16.6ヶ月(14.8–16.9ヶ月)時点における主要評価項目である盲検下独立中央評価によるエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用療法、ゼルボラフ単独療法の無増悪生存期間(PFS)は下記の通りである、エンコラフェニブ+ビニメチニブ併用群14.9ヶ月(95%信頼区間:11.0-18.5ヶ月)、ゼルボラフ単独群7.3ヶ月(95%信頼区間:5.6-8.2ヶ月)、エンコラフェニブ+ビニメチニブ併用群で病勢進行又は死亡のリスクが46%(ハザードリスク0.54,95%信頼区間:0.41-0.71,p<0.0001)統計学的有意に減少した。

また、副次評価項目である盲検下独立中央評価によるエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用療法、エンコラフェニブ単独療法の無増悪生存期間(PFS)は下記の通りである、エンコラフェニブ+ビニメチニブ併用群14.9ヶ月(95%信頼区間:11.0-18.5ヶ月)、エンコラフェニブ単独群9.6ヶ月(95%信頼区間:7.5-14.8ヶ月)、エンコラフェニブ+ビニメチニブ併用群で病勢進行又は死亡のリスクが25%(ハザードリスク0.75,95%信頼区間:0.56-1.00,p=0.051)減少した。

その他副次評価項目である盲検下独立中央評価による全奏効率(ORR)、無作為化から初回奏効までの期間(TTR)、奏効持続期間(DOR)はそれぞれ下記の通りである。全奏効率(ORR)はエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用療法群63%(N=121人)、エンコラフェニブ単剤群51%(N=98人)、ゼルボラフ単剤群40%(N=77人)。無作為化から初回奏効までの期間(TTR)はエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用療法群1.8ヶ月(95%信頼区間:1.8-1.9ヶ月)、エンコラフェニブ単剤群1.9ヶ月(95%信頼区間:1.9-1.9ヶ月)、ゼルボラフ単剤群1.9ヶ月(95%信頼区間:1.8-1.9ヶ月)。奏効持続期間(DOR)はエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用療法群16.6ヶ月(95%信頼区間:12.2-20.4ヶ月)、エンコラフェニブ単剤群14.9ヶ月(95%信頼区間:11.1ヶ月-未到達)、ゼルボラフ単剤群12.3ヶ月(95%信頼区間:6.9-16.9ヶ月)。

一方の安全性として、エンコラフェニブ単剤群、ゼルボラフ単剤群よりもエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用療法群で10%以上多く報告された一般的な有害事象(AE)は下痢、便秘、嘔吐、腹痛、血中クレアチンホスホキナーゼ(CK)増加、目のかすみである。反対に、エンコラフェニブ+ビニメチニブ併用療法群よりもエンコラフェニブ単剤群、ゼルボラフ単剤群で10%以上多く報告された一般的な有害事象(AE)は掻痒、角質増殖症、 乾癬、皮膚乳頭腫、巨赤丘疹、日焼け、脱毛、光線過敏反応、関節痛、筋肉痛、四肢の痛み、食欲不振、筋骨格痛、体重減少である。

また、5%以上の患者で確認されたグレード3または4の有害事象(AE)はエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用療法群でγ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)増加9%(N=18人)、血中クレアチンホスホキナーゼ(CK)増加7%(N=13人)、高血圧6%(N=11人)。エンコラフェニブ単剤群で手足症候群14%(N=26人)、筋肉痛10%(N=19人)、関節痛9%(N=18人)。ゼルボラフ単剤群で関節痛6%(N=11人)。

重篤な有害事象(SAE)はエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用療法群34%(N=66人)、エンコラフェニブ単剤群34%(N=65人)、ゼルボラフ単剤群37%(N=69人)の患者で発症し、最も一般的な重篤な有害事象(SAE)は下記の通りである。エンコラフェニブ+ビニメチニブ併用療法群で発熱3%(N=6人)、エンコラフェニブ単剤群で嘔吐、吐き気3%(N=6人)、ゼルボラフ単剤群で健康状態の悪化3%(N=6人)。

以上のCOLUMBUS試験の結果よりReinhard Dummer氏らは以下のように結論を述べている。”エンコラフェニブ+ビニメチニブ併用療法、エンコラフェニブ単剤療法はゼルボラフ単剤療法に比べて良好な治療成績を示しました。また、エンコラフェニブ+ビニメチニブ併用療法はエンコラフェニブ単剤療法、ゼルボラフ単剤療法よりも忍容性が良好であることも示しました。以上の治療成績より、エンコラフェニブ+ビニメチニブ併用療法はBRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対する新しい治療選択肢になり得る可能性が示唆されました。”

Encorafenib plus binimetinib versus vemurafenib or encorafenib in patients with BRAF-mutant melanoma (COLUMBUS): a multicentre, open-label, randomised phase 3 trial(The Lancet Oncology, DOI: https://doi.org/10.1016/S1470-2045(18)30142-6)

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