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悪性胸膜中皮腫 オプジーボ単剤、オプジーボとヤーボイの併用が有望な可能性 ASCO2017

[公開日] 2017.06.08[最終更新日] 2017.06.08

目次

2017年6月2日から6日まで第53回米国臨床腫瘍学会(ASCO:アスコ)Annual Meeting(年次総会)が開催された。毎年、米国シカゴにて開催されるASCO年次総会は、毎回世界中から3万人以上のオンコロジスト(がん治療に従事する医療者)が集まる世界最大の「がんの学会」と言える。今年の年次総会のテーマは「Making a Difference in Cancer Care With You」となり、『ともにがんのケアを変革していく』という意である。 年次総会では2,150の演題が採択され、さらに2,890本以上の演題がオンライン発表として採択されているが、6月5日、「プラチナ製剤とペメトレキセドの治療歴のある治療悪性胸膜中皮腫患者を対象としてニボルマブ(商品名オプジーボ)単剤療法または、ニボルマブとイピリブマブ(商品名ヤーボイ)併用療法を使用したときの第2相臨床試験」の中間解析結果が発表され、ASCOよりニュースリリースが発出された。

治療開始3か月後の病勢コントロール率 オプジーボ単剤42.6%、オプジーボ×ヤーボイ併用51.9%

2016年の悪性胸膜中皮腫の罹患者数は1500人程度の稀ながんであるが、1960年以降のアスベストの輸入量を考慮すると今後増加の一途をたどり、2030年から2035年にピークを迎えると予想されている。 標準的な初回化学療法はシスプラチンとペメトレキセド(商品名アリムタ)併用療法となるが、化学療法中後に半分の患者が6か月以内に再発し、一般的な生存期間は13~15か月と言われている。また、治療二次治療以降としての確立された治療は存在しない。 その中、プラチナ製剤とペメトレキセドの治療歴のある治療悪性胸膜中皮腫患者を対象としてニボルマブ(商品名オプジーボ)単剤療法または、ニボルマブとイピリブマブ(商品名ヤーボイ)併用療法を使用したときの第2相臨床試験(MAPS-2、NCT02716272)の結果を仏リール大学病院のArnaud Scherpereel氏が発表した。 2016年3月から8月にフランス21医療機関で登録された患者は125名。オプジーボ単剤療法群(単剤群;63名)とオプジーボとヤーボイ併用療法群(併用群;62名)には1:1の割合で割り付けられた。年齢中央値は70.8歳で80%が男性、上皮型は83.8%、ECGOパフォーマンスステータス0~1が登録されPS1の割合は62.4%、初回治療のみは69.6%および前治療を3サイクル以上受けた患者は70%だった。 単剤群に割り付けられた患者は3mg/kgを2週毎に投与され、または併用群に割り付けられた患者はオプジーボ3mg/kgを2週毎、ヤーボイ1mg/kgを6週毎に投与された。投与は不応または許容できない毒性発現まで実施された。 主要評価項目は12週間時の病勢コントロール率(DCR)であり、判定は独立した盲検評価機関が、中皮腫用に改訂されたmodified RECISTを用いて行った。副次的評価項目は、安全性、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、生活の質(QOL)、効果および予後を予測するためのバイオマーカーの評価だった。 本試験に適格登録された最初の108名の12週時の病勢コントロール率は単剤群で42.6%(23/54名)、併用群で51.9%(28/54名)であった。客観的奏効率(ORR)は単剤群で16.7%(9/54名)、併用群で25.9%(14/54名)であった。 また、2017年3月31日カットオフとした試験に参加した125名の予備的データも示され、観察期間中央値は10.4か月であった。結果、無増悪生存期間の中央値は単剤群(63名)で4.0か月、併用群(62名)で5.6か月であった。中央値は単剤群で10.4か月、併用群は達成していなかった(解析時点で50%の以上の方が生存していた)。 安全性について、薬剤関連有害事象は、全グレードではニボルマブ群77.8%、併用群86.9%だった。しかしながら、グレード3または4の有害事象の発現率は単剤群9.5%、併用群18.0%だった。併用群において、下痢(単剤群6.3%、併用群19.7%)と掻痒症(同1.6%、11.5%)が有意に多く発現した。また、併用群にて薬剤関連死が3名で認められ、それぞれの事象は脳炎、劇症肝炎、急性腎不全だった。 Scherpereel氏は「初回化学療法の無増悪生存期間中央値は6か月程度である」「さらに興味深いことに生存期間も非常に優れた結果だあった」「(これらの結果は)免疫療法が、再発中皮腫患者に新たな希望をもたらす可能性があることを示唆している。この無作為化第2相臨床試験は、この設定で免疫チェックポイント阻害剤の使用をサポートするのに十分であるかもしれないが、ニボルマブ単独またはニボルマブとイピリムマブの併用がより良いかどうかを判断するのは早すぎる」と述べた。(ASCO News Releasesから抜粋・翻訳) Early Research Suggests First Immunotherapy for Mesothelioma on the Horizon(ASCO News Releases) Second- or third-line nivolumab (Nivo) versus nivo plus ipilimumab (Ipi) in malignant pleural mesothelioma (MPM) patients: Results of the IFCT-1501 MAPS2 randomized phase II trial(ASCO2017 LBA8507) Nivolumab Alone or With Ipilimumab Controls Disease, Extends Survival, in Mesothelioma(ONCLIVE) 記事:可知 健太 この記事に利益相反はありません。
ニュース 中皮腫 ニボルマブ

3Hメディソリューション株式会社 執行役員 可知 健太

オンコロジー領域の臨床開発に携わった後、2015年にがん情報サイト「オンコロ」を立ち上げ、2018年に希少疾患情報サイト「レアズ」を立ち上げる。一方で、治験のプロジェクトマネジメント業務、臨床試験支援システム、医療機器プログラム開発、リアルワールドデータネットワーク網の構築等のコンサルテーションに従事。理学修士。

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