講演タイトル:『がんを理解するための統計のお話』
演    者:柴田 大朗 先生(国立がん研究センター 研究支援センター 生物統計部 部長)
日    時:3月23日(金)
場    所:日本橋ライフサイエンスハブ8F D会議室

今月は、がんを理解するための統計のお話をテーマにご来場頂きました。

クローズドセミナーであるため全ての情報は掲載できませんが、ポイントとなる情報をお伝えしていきます。

今回は、「情報をどのようにして伝えれば良いか、なぜデータや統計を使うのか」、「『余命半年』を例に、データとどう付き合うか」を中心にご講義頂きました。

まず、「情報をどのようにして伝えれば良いか」では、情報を伝える際に定義がぶれない平均などの代表値を使う事で状況を簡単に伝えられる事を教えて頂きました。

「なぜデータや統計を使うのか」ということについては、多くの方に情報を伝えることが可能になりますが、そこにはメリットとデメリットがあります。

メリットとしては、統計(平均値等)を計算すると、データを持ち運び・伝達しやすくなる、傾向を把握しやすくなります。
一方デメリットとして、生データの持つ多様性が失われ、捨てられる情報がある事により問題を引き起こすこともあるそうです。

次に、「余命半年」について解説して頂きました。
そもそも余命半年の意味は、似た状態の患者さんたちの情報から計算した余命のことです。沢山の患者さんの情報があるので通常は「中央値」が使われます。

しかし、そこにはバラつきの大きい半年と、そうでないものもあるそうです。ここで先生は臨床試験の結果を数例ご紹介くださいました。

中央値の1つだけで判断して良い場合は、多様性(バラつき)が小さい時で、1つの数字だけで判断することは危険です。比較的多様性が小さい時は中央値の代表性はそこそこ有りますが、比較的多様性が大きい時は中央値の代表性あまりないそうです。

1つの臨床試験はデータのまとめ方次第で違った印象になります。よって、統計は客観的な様でどんな切り口で選んで要約するかによっては全く印象が異なってしまうそうです。

そこで、「生存曲線」と「ハザード(瞬間死亡率)」の関係を見ると、時間経過と共に死亡するリスクが変わることが分かるそうです。これは治療選択を選ぶ際の指標にもなります。

最初のリスクを乗り切ると長期生存できるか、または最初に安定をして治療をしたいか、などは個体差や価値観により変化します。中央値だけでは、これらを考慮して判断することはできません。

まとめとして、
①統計解析とは、複雑な状況を要約・縮約すること
②要約・縮約の仕方が不適切であったり、困難な状況で無理に少数の数字のみで議論することは、情報を取りこぼすこともあるので困難なこともある
③可能な限り多面的に情報を見るほうがよい

と仰っていました。

質疑応答の時間では、「2人に1人ががんになるというのはどのような事か」「中央値は医師も判断しているのか」「余命の計算方法はどのようにするのか」等の質問にお答え頂きました。

まず、2人に1人ががんになるというのは診断を2人に1人が受けるという意味で、20歳の人が2人に1人ががんになるという訳ではない。一生涯の話だそうです。

次に、中央値は医師も判断しているのかについては、通常の医師は統計が必ずしも得意ではないそうです。これは、目の前の患者に尽力するためでもあるそうです。専門医に関しては、情報を正確に伝えるために統計を学ぶ為、基礎的な理解はあるそうです。

また、余命の計算方法については、ルールがある訳ではないそうです。多くはステージで、次に腺がん扁平上皮がんなどの病理で分類するそうです。現在は、薬の開発で遺伝子変異など、より細かく変わってきているそうです。

当日ご聴講された方々より、「難しい話をなるべく分かりやすく説明して頂き凄くよかった!」「実例を通してやさしく説明して頂いた。」「治療をどのように決定していくかの指針である、自己決定力が付いた。」など、多くのご感想が寄せられました。

1つの新薬の臨床試験の結果を論文方式、新聞記事など様々な方法で見せて頂き、同じ試験結果のデータが、見せ方によって印象が異なる事が分かりました。
同じ薬でも何を参考にしたかにより、使いたい薬の意見が分かれるエピソードは、治療を選択する上で患者さんにとって大変重要だと感じました。

先生、ご参加された皆様、本当にありがとうございました。

4月27日(金)は、国立がん研究センター東病院 頭頸部内科 医員 岡野 晋 先生をお迎えし、『頭頸部がん』をテーマにご講義いただきます。

次回の会場は「日本橋ライフサイエンスハブ8F D会議室」です!皆様のご参加をお待ちしております。

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