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食道がんの基礎知識

[公開日] 2017.11.28[最終更新日] 2017.11.28

食道とは

食道とは、咽頭と胃の間をつなぐ長さ約25cmの管状の臓器で、周囲には気管、心臓、大動脈、肺などの重要な臓器があります。食道の壁の厚さは4mm程度ですが、内側から外側に向かって粘膜、粘膜下層、固有筋層、外膜といった何層もの構造から成り、周囲にはリンパ節があります。食道は、壁の中の筋肉を動かすことで(蠕動運動)食べ物を胃に送ります。 食道がんとは、食道の内面をおおっている粘膜の表面から発生するがんのことです。

食道がんの罹患率と生存率

日本において食道がんと診断された患者数は、2019年の報告では124,319例(男性85,325例、女性38,994例)であり、男性の割合が女性の約2倍となっています。 食道がんの病期毎の5年のネット・サバイバルは、I期:79.1%、II期:48.8%、III期:28.2%、IV期:9.7%と報告されています。[院内がん登録生存率集計(2015年5年生存率)]

食道がんの種類と原因

食道がんは主に二つの組織型に分類され、扁平上皮がんが9割弱、腺がんが7%程度、稀に両方の組織型が混在します。 食道がんの原因となる主な危険因子は、飲酒と喫煙で、特に扁平上皮がんとの関連が強いと言われています。一方で、腺がんの多くは、胃食道逆流症を背景とした下部食道の持続的な炎症によってできるバレット上皮(食道と胃の上部の接合部に発生する粘膜組織の変化)に由来すると考えられています。

食道がんの症状

食道がんは、早期には無症状、あるいは刺激物(辛いものなど)を食べたときにしみるような感覚を感じる程度の症状であることが多く、進行すると食道狭窄(食道の一部が狭くなること)が進んで嚥下障害やつかえ感のような自覚症状が出てきます。また、更に周囲への臓器まで浸潤が及ぶと、咳嗽(せき)や胸部痛などが出現します。

食道がんの予後

食道がんは漿膜(体腔の内面や内臓器官の表面をおおう薄い膜)で覆われていないため、周囲の臓器に転移しやすい性質を持ちます。また、自覚症状に乏しく、進行してから見つかることが多いため、消化管のがんのなかでは、比較的悪性度の高い予後不良のがんの一つです。
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