胃がんとは
胃とはみぞおちのやや左側に存在する袋のような形をした臓器です。その役割とは、胃袋とも呼ばれるように食物を一時的に溜めて、その後消化することです。この働きが単なる食物の通り道である食道と違う点です。
胃の構造としては、胃体部、残りの幽門前庭部の2つに大きく分かれます。胃体部は食道から胃の入り口である噴門より始まり胃の3分の2を占め、幽門前庭部は十二指腸へと続く胃の出口である幽門までの残りを占めます。
胃がんとはこの胃という臓器にできるがんであり、胃がんは内側の粘膜に発生して、胃壁の外側へ向かうことで進行します。胃壁は主に6層でできており、内側から順に粘膜層、粘膜筋板、粘膜下層、固有筋層、漿膜下層、漿膜となっています。つまり、胃がんは粘膜層より発生し、進行に伴い漿膜へと近づいていきます。
胃がんの原因
胃がんは粘膜内の細胞ががん化することで発生すると考えられていますが、がん化は粘膜の炎症による慢性萎縮性胃炎、腸上皮化生を経て起きます。では、この炎症を引き起こす原因として考えられているものは、喫煙、塩分過多の食事、野菜・果物不足の食事、そしてヘリコバクターピロリ菌の感染です。
上記原因の中でもヘリコバクターピロリ菌は、1994年にWHO(世界保健機関)が確実な発がん因子と認定されています。そのため、ヘリコバクターピロリ菌が陽性になった場合には、ピロリ除菌をすることで胃がんの発症リスクを軽減させることが科学的根拠を持って推奨されています。
胃がんの症状
胃がんの症状は非特異的です。体重減少、食欲不振、上腹部不快感、腹部腫瘤、全身倦怠感、嘔吐、吐血、嚥下困難など、症状としては多種多様です。
一般的には胃がんの進行具合によりその症状は異なり、早期胃がんでは上腹部不快感、食欲不振、吐気、嘔吐、嚥下困難などが見られます。
そして、がんが進行してくると腹痛以外にも吐血、黒色便などの出血症状が見られます。さらに進行すると、全身倦怠感、体重減少に加えて胃がんそのものがしこりとなって触れるようになります。