
オンコロLINEの友だちを対象に、がん患者さんやご家族の方などのご意見・お考えを共有したり、がんについて学べる1問クエスチョンのオンコロ・ワンクエスチョン! その結果と解説をがん情報サイト「オンコロ」にて公開しています!
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質問
「サバイバーシップ・ケアプランをご存じですか?」
結果・解説

がんの治療を終えた、あるいは治療を続けているがん患者さんとご家族の方は、これからの生活について様々な思いを巡らせていることと思います。治療後の体調管理や再発への不安、社会復帰のことなど、考えることはたくさんあるかもしれません。
そんな中、「がんサバイバーシップ」が注目されています。さらに、海外での導入が進んでいる「サバイバーシップ・ケアプラン」についても今回のオンコロ・ワンクエスチョンでは解説します。多くの方が「知らない」と回答された「サバイバーシップ・ケアプラン」も併せてぜひこの機会に理解を深めていただければ幸いです。
「がんサバイバーシップ」とは?
近年、がん医療の進歩に伴い、治療を終え社会生活を送るがんサバイバーが増加しています。その中で、治療後の長期的な健康管理と生活の質(QOL)の維持を包括的にサポートする概念として「がんサバイバーシップ」が注目されています。
「がんサバイバーシップ」とは、がんの診断を受けた時から治療中、治療後、そして生涯を通じて「がんと共に生きる」全ての人々とそのご家族を支える考え方や取り組みを指します。その主な目的には、身体的・精神的な苦痛を和らげ、生活の質を維持・向上させることがあります。
具体的な取り組みとしては、
・治療後の定期的なフォローアップケア
・痛みや倦怠感といった症状の管理
・栄養指導や運動療法を通じた生活習慣の改善サポート
・心理カウンセリングや患者会などを通じた精神的なケア
・治療と仕事の両立支援
・アピアランスケア(外見の変化への対応)
が挙げられます。
これらの支援は、医師、看護師、心理士、ソーシャルワーカーなど多職種の専門家が連携し、がん経験者一人ひとりの状況に合わせて提供されます。このように、病の予防・管理のほか、治療に伴う心理的な問題に対応するなど、様々な角度から「がんと共に生きる」すべての人を支える取り組みです。
「サバイバーシップ・ケアプラン」の紹介
この「がんサバイバーシップ」を具体的に進めるための一つの方法として、海外で利用・普及が進んでいるのが「サバイバーシップ・ケアプラン(Survivorship Care Plan)」です。
日本では治療内容の要約が中心となる「退院時サマリー」や、今後の治療方針を示す「今後の治療・療養計画書」といった言葉がありますが、サバイバーシップ・ケアプランは、これらに加え、長期的な健康管理、生活の質の維持、心理社会的なサポートといった、より広範な情報を含む点が特徴です。
海外では、このサバイバーシップ・ケアプランが、がんサバイバーが治療後も心身ともに健康で、その人らしい生活を送るための重要なツールとして広く認識され、利用と普及が進んでいます。具体的には、医療チームと患者さん自身が情報を共有し、今後の健康管理や生活について共同で計画を立てるために活用されています。
このケアプランがあることで、がん患者さんやご家族の方には、主に次のようなメリットが期待できます。
①
治療経過や今後の注意点が明確になる
どのような治療を受け、それによって今後どのような影響が考えられるのか、また、いつ頃どんな検査を受ける必要があるのかなどを具体的に把握できます。
②
体調管理や生活の工夫に役立つ
治療後に起こりうる副作用や、時間が経ってから現れる可能性のある影響(晩期合併症)についてあらかじめ把握することで、早めの対処や予防につながります。また、食事や運動など、日常生活で気をつけるべき具体的なアドバイスを得ることで、より健康的な生活を送りやすくなります。
③
医療者やご家族の方との情報共有がスムーズになる
転院や他の医療機関を受診したりする必要が出た場合でも、このプランがあれば、これまでの詳しい治療経過を正確に伝えることができます。また、ご家族の方も患者さんの状態や必要なケアについて理解しやすくなり、サポートの輪が広がります。
日本においては「サバイバーシップ・ケアプラン」はまだ普及の途上にありますが、近年、がんサバイバーシップへの関心は高まっており、今後の導入と活用が期待されています。
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国立がん研究センター東病院:「がんサバイバーシップガイドラインの提言と普及・利活用に関する研究」
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